2017/01/25 国土交通省 「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会(平成28年度 第2回)」 
総合評価方式の改善、災害時等の発注方式等について議論

国土交通省 平成28年度 第2回の「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」が中央合同庁舎2号館にて開催された。


最初に座長を務める小澤一雅氏(東京大学大学院工学系研究科教授)より、建設生産管理システムにおける入札契約段階として、1つは総合評価落札方式の改善について、もう1つは災害等の非常時における発注方式の適切なあり方についてご議論をいただきたいと挨拶があった。

1. 総合評価方式の改善等

(1) 技術提案評価型S型の改善
技術提案評価型S型は技術的工夫の大きい工事を対象に、施工上の工夫等の技術提案を求めるものだが、近年は技術評価点1位同点者数が増加し、評価点1位と2位の得点率差は減少する等、落札者と非落札者の技術評価点の差がつかなくなっている。
来年度より点差が付きにくいテーマへの対応を進める。NETIS技術に関しては、技術活用システム(NETIS)における取組みと連携して検討を進めることが提示された。

(技術評価点で差がつかなくなっている(技術提案評価型S型))


(2) 新技術の導入等、新たな技術提案の追加
国交省ではこれまでNETISの活用実績等を評価していたが、「i-construction」の推進等、生産性向上の取組を積極的に推進している状況を踏まえ、入札契約制度においても新技術・AI・IoTの導入を促進する方策が必要ではないかと提示があり、総合評価落札方式における技術提案での新技術の導入を促す方策の案が出された。
今回は3案が提示され、次回具体的なテーマが提示される予定。

試行案① 新技術導入提案型
対象工事において、従来求めているテーマの一部に代えて、目的物の品質確保・工場の観点から適用が考えられる新技術を求めるテーマを設定する。


試行案② 新技術導入評価型
新技術の活用が必要な工事分野や内容を特定し、該当工事において、必要となる新技術分野の提案を求める。提案が有用であると評価される場合には、設計変更を行い履行する。


試行案③ ECI方式(技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ)を想定)
新技術導入による施工の確実性の向上や3次元データの活用による効率化などの観点から、設計段階から施工者が有する技術・ノウハウも設計に反映させるために試行する。

(3) 担い手確保等の政策推進の取組
直轄工事におけるワークライフバランス関連認定制度を活用した評価について、一般土木A等級当の工事に平成28年度から一部工事に導入、平成30年度までに全面的に導入することが示されていたが、平成29年度は試行を各地方整備局等に拡大することが示された。

(段階選抜評価項目として、「女性活躍推進法に基づく認定等」、「次世代法に基づく認定」、「若者雇用促進法に基づく認定」を評価基準とする)


また若手技術者の配置を促す入札契約方式について実施状況が報告された。
一定年齢以下の専任配置を加点評価(タイプⅠ)、専任補助者の実績・成績を代わりに評価(タイプⅡ)、同種工事の実績について従事役職によらず同等評価(タイプⅢ)、一定の年齢以下であることを参加要件に設定(タイプⅣ)の実施件数や効果が報告された。タイプⅡ(専任補助者の実績・成績を代わりに評価)のみ実施数が減少しており、参加された委員からも「タイプⅡに実施は企業にとって大変」等の意見が出された。

また、企業における”若手技術者の支援体制を評価”する九州地方整備局の取組み等が紹介された。


(4) 企業の参加機会の確保について
直轄工事の実績のない企業の参入を促すことを目的としてチャレンジ型や、自治体実績評価型等が実施されている。
実施により、直轄工事の実績のない企業の参入率・受注率が高まる傾向から、地域における企業の状況等を踏まえながら、取組みを継続していることが示された。


2. 災害等の非常時における発注方式の適切な適用のあり方

災害等の非常時において適切に入札契約方式が適用されるガイドラインの作成について、近年の災害での入札契約方式の適用状況から整理がなされた。
災害時の契約方式選定にあたっての発注者の基本的な考え方が整理された。
① 被害の最小化及びその迅速な回復
② ①を実現するための入札契約方式の選択と、その過程並びに契約の内容の透明性の確保
③ 将来にわたる地域の復旧・復興を支える担い手の確保

災害復旧にあたっての入札契約方式の適用の考え方について、緊急度に応じて以下のように整理された。


その他、過去の災害等を踏まえ、以下の配慮事項が示された。
・受発注者の発注関係事務の効率化
①一括審査方式の活用 (施工能力評価型(Ⅱ型)においても一括審査方式を積極的に活用)
・確実な施工確保/不調不落対策
②確実かつ迅速な施工が可能となるよう実態を踏まえた積算の導入(復興係数、復興歩掛等)
・参加企業の確保
③地域企業の参加可能性額の拡大 (一般土木C等級の価格帯の上限の変更(3億→4.5億)
④復興JV・地域維持型JVの積極的な活用
・発注者の体制の補完
⑤事業促進PPP/CM等の活用

また災害時の指名競争入札において、辞退者・不参加者が指名者の5割程度に及ぶ事例があることや、低入札の発生、施工体制の確認のための契約締結まで時間を要するとともに、ダンピング受注の可能性もあることから、参加者を関連する災害復旧工事の一般競争入札(総合評価落札方式)において加点評価する案や、「指名競争入札(総合評価落札方式・施工体制確認型)」の適用の案が出された。


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