2008/01/15 地域の建設業、もう必要ない?/瀬戸際の建協から悲鳴、正当に評価される環境を


【建設工業新聞 1月9日 記事掲載】

  地方の建設業協会(建協)が悲鳴を上げている。工事量の減少と一般競争入札の拡大に伴う過当競争で、会員企業の経営環境は急速に悪化。倒産や廃業に加え、会費を払えないなどの理由で脱会する企業が相次ぎ、協会運営さえままならない状況にある。災害復旧や除雪などでも地域を支えてきた会員企業のひん死の状況に、各建協とも何とか手を打とうと努力しているが、財政再建や建設業批判の声にかき消されて光明が見いだせない。地域の建設業はもう必要ないのか-。
  各都道府県建協の会員数減少に歯止めがかからない。公共事業への依存度が高い東北、四国地方を例に取ると、99年度から07年度にかけ東北6県の建協では会員数が約23%減少して2140社、四国4県では約39%も減少して2051社となった。都道府県建協を束ねる全国建設業協会の会員数も同時期に約25%減少して2万4603社まで落ち込んでおり、会員数減少が全国的傾向であることがうかがえる。会員数減少は建協の会費収入の減少に直結する。四国地方では、会費収入がピーク時に比べ高知建協で46%、徳島建協で32%、香川建協で43%、愛媛建協で46%も減少した。会員企業の財務状況を勘案すれば、会費値下げに踏み切らざるを得ないことも収入の落ち込みに拍車をかけている。
  かつては協会員であることが地方の建設会社のステータスであり、信用面で入札指名の際にも有利に働いた。だが、一連の官製談合問題を踏まえた全国知事会の申し合わせもあり、一般競争入札が急激に拡大。「協会を辞めても一般競争だから仕事ができる」と協会を離れる会員も少なくない。
  工事量の減少と一般競争拡大に伴う過当競争で急速に悪化した会員企業の経営状況に、各建協も手をこまぬいているわけではない。地元選出の国会議員や行政に窮状を訴えるなど、何とかしようと努力はしているが、改善には時間を要する。日々の資金繰りにさえ困っている会員企業は我慢できず、安値でも受注せざるを得ない悪循環に陥り、地方の建設業界全体の弱体化が進行中だ。福島建協の鈴木哲夫専務理事は、「地域の建設業が正しく評価され、建設業に働く人が生活設計できる状況にしてほしい」と訴える。地域に必要とされる建設会社が生き残れる環境を早急に整備する必要がある。

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