2008/01/23 土木学会/上級と1級の技術者資格に実務コース新設へ/公共調達ニーズに対応


【建設工業新聞 1月22日 記事掲載】

  土木学会(石井弓夫会長)は、08年度から同学会認定技術者資格の運用を見直し、上級、1級資格に実務コースを新設する方針を固めた。経験工学といわれる土木技術で最も重要な「実務における経験と能力」を具体的内容の申告と面接審査で評価。第三者的立場にある学会が、土木技術者の「経験能力の質」を保証することで、発注者支援業務も担える技術者の育成・選定につなげる。
  同学会の認定技術者資格は、特別上級、上級、1級、2級の4階層で構成される。07年度には全階層で638人が合格し、累計合格者数が3000人を突破した。資格創設から6年間を経て、さらに広く認定技術者を活用してもらうとともに、認定技術者数を増やすため、08年度から制度運用を見直す。
  実務コースの新設は、競争の激化によって品質確保が懸念される公共調達の現状を背景に、実務に優れた技術者を確保・育成する目的で実施される。日程は既存コースとは別に設定。今春に試験要領を公表し、秋に募集を開始する予定だ。受験要件を含め3月の理事会で詳細を決定し、実施可能な資格分野から実務コースをスタートさせるが、技術者の実務分野が明確化できるよう資格分野の一部見直しもあり得るという。既存コースと実務コースの資格者を同一に扱うべきかも含め、さらに議論を進める。実務コースは上級、1級資格のみとするが、2級資格については10年度にコンピューター試験への移行を目指す。
  実務コースの新設と併せ、08年度から特別上級資格を除き、学会員であることを認定要件からはずす。従来は試験を受けることはできても、同技術者として認定を受けるには学会員である必要があったが、さらに広く学会認定技術者を活用してもらう観点から要件を緩和した。同学会では、資格要件の緩和と実務コースの新設により、優れた技術者を必要とする公共調達ニーズに対応できると判断している。

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