2008/03/03 「施工体制確認型」の対象拡大、08年度から1億円以上に/国交省、安値応札抑制


【建設工業新聞 2月29日 記事掲載】

  国土交通省は、施工体制確認型総合評価方式による入札の対象工事を、08年度から拡大する方針を固めた。対象金額を現行の2億円以上から1億円以上に引き下げるとともに、適用工種を一般土木、PC(プレストレス・コンクリート)、鋼橋上部の主要3工種以外にも広げる。06年12月に緊急公共工事品質確保対策(ダンピング受注防止策)を打ち出した後、収束に向かっていた低価格入札が再び増加傾向にあり、工事の品質低下や下請業者へのしわ寄せといった懸念が出ていることから、対象拡大で安値受注に伴う不安の払しょくを狙う。08年度事業の執行通達に盛り込み、全地方整備局発注工事に適用する。
  同省は、自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長・古賀誠選対委員長)が07年12月に政府に提出した提言に対する回答で、施工体制確認型総合評価方式について「さらなる改善を検討する」としていたが、新年度からの対象拡大に踏み切る。施工体制確認型総合評価方式を採用すれば安値受注のしわ寄せが下請業者に及びにくく、同議連が求める工事の品質低下予防やダンピング受注の防止にも効果があるとみて、現在よりも多くの工事で実施することにした。
  多くの地方整備局では現在でも、緊急公共工事品質確保対策に盛り込まれた範囲以上に、施工体制確認型総合評価方式を実施中。本省の通知範囲内だけで行っている地方整備局でも、08年度発注工事からは対象工事が広がることになる。ただ、応札動向を工種別にみると、安値受注がほとんどない工種もあり、拡大対象工種は限定的になる見通しだ。
  自民党品確議連への政府の回答によると、施工体制確認型総合評価方式の導入を防衛省が表明したほか、 農水省が対象金額を9000万円に引き下げる方針を盛り込んでおり、国交省以外にも同方式を取り入れる発注者が増えている。施工体制確認型総合評価方式は、加算点のうち技術評価点が最大で70点設定できるほかに、施工体制評価点として30点がある。調査基準額以下だと30点の獲得が難しく、結果的に応札価格の低下に歯止めを掛ける効果が出ている。

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