2008/04/25 都道府県の主観点評価-項目や配点に差異、監督処分は厳しく減点/国交省研究会


【建設工業新聞 4月24日 記事掲載】

  都道府県が発注する公共工事の入札参加資格審査で、企業評価に用いる主観点の具体的な活用状況が明らかになった。全体として、工事成績や地域貢献、優良工事表彰などは評価項目として一般化しつつあるが、都道府県によって評価項目や項目ごとの配点にかなりの差異があるようだ。
  技術力評価の一環 として、VE(バリュー・エンジニアリング)提案や継続学習への取り組みを前向きに評価する都道府県がある一方、営業停止などの監督処分や指名停止などのペナルティーを受けた業者に厳しい減点評価を講じる傾向も浮き彫りになっている。
  主観点の活用状況は、22日に開かれた国土交通省の「地方 公共団体における企業評価のあり方に関する研究会」に参考資料として示された。工事成績については、特に地元の雇用や地域貢献へのウエー トを高くするよう配慮している大阪以外は、何らかの評価を行っていた。ただ、配点への重点の置き方などは都道府県によって違いがあり、必ずしも工事成績を重視しているところばかりではないようだ。 地域貢献では、清掃などの奉仕活動や災害協定への参加、除雪業務などに評価点を与えるケースが多く、 全体の7割を超える都道府県が評価対象としている。
  技術力評価では石川、岐阜、静岡、三重、滋賀、兵庫、熊本、大分などがVE提案とVE受注を評価項目としていた。全国土木施工管理技士会連合会が独自に運用する継続学習制度(CPDS)について は、島根や広島、山口、愛媛、高知、佐賀、長崎、宮崎などが評価項目として採用。神奈川や静岡のように国土交通相が顕彰する優秀施工者(建設マスター)を技術力評価の物差しにしているところもあった。
  指名停止や営業停止などに対しては、ほとんどの都道府県で減点措置が講じられていた。かつて談合事件などの不祥事が問題となった都道府県ほど厳しく対処する傾向が強く、長崎では贈収賄や談合による指名停止措置に対して最大100点もの減点評価を実施。和歌山では不正行為による減点措置に加え、独占禁止法の順守体制の整備にも加点措置を講じている。建設会社の新分野進出や合併・営業譲渡を加点評価する都道府県もあり、建設産業政策の一環として主観点数を利用する動きもあるようだ。

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