2008/07/16 国交省直轄工事の格付け、09年度から運用見直しへ/自治体工事の実績も加味


【建設工業新聞 7月16日 記事掲載】

  国土交通省は、09年度から同省直轄工事の入札に参加する建設会社の格付けの運用を大幅に見直す。格付け自体は変えないものの、格付けが下位ランクの業者が上のランクの工事に参加できる「くい上がり」や、その逆の「くい下がり」を積極的に活用。格付けによる受注企業の固定化を避け、優れた技術力を持つ企業の競争参加機会を拡大する。併せて、業者を格付けする際の主観点数に、直轄工事だけでなく自治体発注工事の実績も加味する考えだ。同省の前川秀和官房技術調査課長が日刊建設工業新聞社のインタビューに応じて明らかにした。

  同省直轄工事では一般土木工事の場合、建設会社はそれぞれA~Dランクに格付けされ、発注標準によってランクごとに競争に参加できる工事金額が定められている。インタビューで前川課長は「格付け自体は変えないが、ランクごとに固定的にならない形で運用したい」と述べた。
  その具体策として、くい上がり・くい下がりの積極的な活用を挙げ、「運用を大幅に改善したい」と述べた。くい上がり・くい下がりは制度としてはあるものの、これまで実際にはあまり運用されてこなかった。くい上がりでは、工事金額ではBランク業者向けの工事でも、技術的難易度の低い工事であれば、一定の技術力を持つCランクの業者の入札参加を可能にする。
  くい下がりでは、逆に工事金額ではCランク業者向けの工事でも、技術的難易度の高い工事であれば上位のBランクの建設会社の競争参加を認めるなどし、格付けだけにとらわれない技術力を重視した競争参加を促進する方針だ。

  併せて、格付けに用いる主観点数の算定も見直し、点数の基になる工事成績や工事実施状況の評価に、同省直轄工事だけでなく自治体発注工事の成績なども加味する。今秋に始まる09・10年度の競争参加資格審査に適用する方針だ。自治体工事の実績も評価対象とすることで、直轄工事の実績が少ない建設会社であっても、技術力があれば直轄工事への参加機会を広げる。
  前川課長は、こうした施策の展開について、「競争は激化するだろうが、技術力の競争を進めればよいのであって、技術力や意欲のある会社は伸びていくはずだ」と話している。

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