2008/09/27 国交省/中小建設業向け内部統制モデル作成へ/法令順守の体制整備促す


【建設工業新聞 9月26日 記事掲載】

  国土交通省は、建設業の適正取引を推進するため、11月にも有識者委員会を設置して中小建設業の内部統制のあり方の検討に着手する。法令順守をはじめとする内部統制の取り組みは、大手のゼネコンなどでは進んでいるものの、経営資源に限りのある中小建設業が単独で取り組むのは難しいと判断。08年度末までに中小建設業の特性を踏まえた内部統制モデルを作成する。建設業法の順守を含め、中小建設業者が自ら適正な業務を確保できる体制の整備を目指す。
  内部統制では、経営者が主体となって、法律行為や財務報告での不正や誤りの防止に向け社内システムを整備する。大手ゼネコンなどでは整備が進みつつあるが、建設業の大半を占める中小建設業者にとってはハードルが高く、取り組みが遅れがちなのが実情。このため国交省は、建設業全体の適正取引を推進する観点からも、中小建設業向け内部統制モデルを示すことにした。具体的な検討業務は外注することにし、企画提案を公募して委託先をNTTデータ経営研究所(東京・渋谷区)に決定。同社が調査・企画業務を担当し、事務局となって有識者委の運営にも当たる。有識者委は、学識者や弁護士、会計士、建設業界関係者らで構成。11月の初会合を含め08年度中に3回程度の会合を開き、成果をとりまとめる予定だ。
  中小建設業では、業界に特有の古い商習慣や企業体質が残り、適正取引を阻害しているケースがあるとされる。検討に当たっては、違法行為を繰り返す建設業者に、再犯に至った経緯や社内の再犯防止策が機能しなかった理由などを調査し、中小建設業に適した内部統制のあり方を明らかにする。特に中小建設業者の場合、社内の意思決定や意思伝達の方法に問題があるケースも想定されるため、監視機能のあり方も含め内部統制モデルを提示する。併せて、元・下請取引の適正化なども検討の対象になる。国交省は07年4月に元・下請負関係の適正化を図るための「建設業法令順守ガイドライン」を策定。今月には改正を加え、工期面での下請業者へのしわ寄せを防ぐ内容を充実させており、元・下請取引の適正化を含め内部統制モデルが示されることになりそうだ。

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