2008/10/16 保証事故が急増傾向/登録企業倒産も過去10年で最悪/東保証、上期まとめ


【建設工業新聞 10月16日 記事掲載】

  建設会社の経営環境が一段と厳しさを増している実態が、東日本建設業保証(東保証)がまとめた08年度上半期(4~9月)の公共工事前払金保証統計であらためて浮き彫りになった。保証事故の発生件数と保証登録企業の倒産件数は前年同期に比べ大幅に増加。倒産企業は前年同期比で80社以上増え、過去10年で最悪の水準となっている。
  上半期の保証事故の発生は、前払金保証事故が84件(弁済予定金額7億3666万円)、契約保証事故が162件(同5億7818万円)。前年同期に比べ、前払金保証事故は件数が15件、金額が3億5950万円それぞれ増加。契約保証事故は件数が74件、金額も2億5025万円増えている。保証事故は9月だけで前払金と契約合わせて89件発生。前年同月に比べ前払金保証事故は前年同月のほぼ倍、契約保証事故は同3倍近くに増えた。保証登録企業の倒産は4~9月の累計で498社となり、前年同期比84社増えた。過去10年で見た場合、02年度の475社を上回って最悪の水準。9月単月の比較でも07年度の51社が08年度は91社と倍近くに増えている。
  景気後退や、米サブプライム問題に端を発した金融不安などを背景に、金融機関は融資姿勢を厳格化しているとされ、資金繰りに苦慮する声は業界内で確実に高まっている。保証事故が増加し、保証登録企業の倒産も増えている現状は、業界が直面する苦境を如実に表しているといえそうだ。東保証が本年度上半期に扱った保証工事は6万8210件(前年同期比1・7%減)で、総請負金額は3兆3911億円(同0・8%増)、保証金額は1兆1856億円(同0・5%増)。請負金額と保証金額は数字上横ばい状態だが、東京都など一部の発注者が大型案件の入札契約手続きを終えた特殊要因によるもので、公共工事の縮小は依然深刻だ。

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