2008/10/20 国交省/地域建設業の資金繰り、新制度で支援/公共工事債権利用し低利融資


【建設工業新聞 10月20日 記事掲載】

  国土交通省は、中堅・中小建設会社の資金繰りを支援するため、公共工事の請負代金債権を利用する新たな融資制度を11月4日にスタートさせる。17日付で制度運用の詳細を各地方整備局や自治体、業界団体に通知した。新制度では、工事の出来高が2分の1を超えれば、代金債権の譲渡が可能になり、建設業振興基金(振興基金)が認めた民間貸付業者、または事業協同組合から転貸融資を受けることができる。加えて、保証事業会社から前払金保証を受けた工事であれば、保証事業会社の債務保証を条件に、出来高を超える部分の工事代金債権を利用して通常より低利で融資を受けられるようになる。
  資金繰りの悪化で建設会社の倒産が全国で相次いでいる現状を踏まえ、既存の下請セーフティーネット債務保証事業を拡充し、地域の建設会社の経営力強化に向けた融資制度を創設した。対象となるのは、原則資本金20億円以下または従業員1500人以下の中小・中堅建設会社で、国や都道府県、市町村、高速道路会社、都市再生機構、日本下水道事業団、水資源機構などの発注工事の請負代金債権を利用して融資が実行される。低入札価格調査の対象となった工事や、国交省直轄工事のうち他省庁からの支出委任工事や工期が複数年度にまたがる工事は対象外とする。
  手続きでは、工事の出来高が2分の1を超えた時点で建設会社が発注者に代金債権の譲渡を申請。発注者は、工事を止めることなく簡易な履行報告書だけで出来高を確認し、1週間以内に承諾書を交付する。承諾を受けた建設会社は、支払い計画などを示した上で事業協同組合か民間貸付業者に債権を譲渡。事業協同組合などはこの債権を担保に金融機関から資金を調達し、建設会社に転貸融資する。事業協同組合が転貸資金を借り入れる際に振興基金が債務保証する。地域によっては利用できる事業協同組合がないことから、振興基金が一定の要件の下で認めた民間貸付業者なら債権の買い取りと転貸融資ができるようにした。
  振興基金の債務保証による転貸融資と、保証事業会社の債務保証による直接融資を合わせると、建設会社は請負代金のかなりの部分を完工前に現金化でき、運転資金に利用できるようになる。さらに、両者の債務保証によって融資金利が通常より低くなるのもメリットだ。

     国土交通省ホームページ 報道発表資料
       地域建設業経営強化融資制度の創設について

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら


戻る