2008/11/05 国交省/転貸金利の圧縮策検討/資金繰り支援新融資制度の活用促進へ


【建設工業新聞 11月5日 記事掲載】

  中小・中堅建設業者の資金繰りを支援する「地域建設業経営強化融資制度」の活用促進に向け、国土交通省が建設会社の金利負担軽減を検討していることが分かった。政府の新経済対策を受け、中小企業支援の一環として、建設会社が事業協同組合や民間事業者(北保証サービス、建設経営サービス、建設総合サービス)から転貸融資を受ける際の負担金利を圧縮し、融資制度の使い勝手を良くする。必要経費として13億円程度を08年度2次補正予算案に計上する考えだ。
  一時的な資金ショートによる建設会社の倒産が相次ぐ現状から同省は4日、公共工事の請負代金債権を担保にした中堅・中小業者向け融資制度をスタートさせた。建設業振興基金と保証事業会社が債務保証を行うことで、請負代金のかなりの部分を早期に現金化できる仕組みだ。確実性の高い公共工事の請負代金債権を担保に使い、さらに建設業に詳しい機関が債務保証を行うため、金融機関にもメリットのある融資制度だが、活用促進が課題。建設業界には、請負代金債権を担保に融資を受けることで地域に信用不安を招くとの懸念が出ている。
  同省は、こうした不安を払しょくして制度活用を促すには、建設業者側のメリットを強調する必要があると判断。振興基金の債務保証による転貸融資部分について、金利負担の軽減に乗り出すことにした。仕組みは今後検討するが、事業協同組合や民間事業者に必要経費を補てんすることで、転貸融資の金利や事務手数料負担を半分程度に圧縮したい考え。苦境にあえぐ建設会社の資金繰りを早急に支援する必要があり、2次補正予算成立後、直ちに実施に移す方針だ。
  国交省はまた、建設会社の建設業以外への事業進出を、地域を挙げて後押しする取り組みを支援する。地域の基幹産業である建設会社が地域の雇用・経済を支え続けられるよう、具体的なプロジェクトを前提に建設業団体や建設会社、自治体、農業協同組合、森林組合が協議会を設置する費用を支援する。既存の人材や資機材を活用して建設業をベースに事業を多角化させるため、国交省はこれまで個別の建設会社の取り組みは支援してきたが、地域を挙げた活動を後押しするのは初めて。基幹産業である建設業をどうするかを地域で検討した上で、モデルとなるプロジェクトに結び付けてもらう。

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