2008/11/06 東京都下水道局/見積もり積算方式を試行/不調不落の抑制策、7件で適用検討


【建設工業新聞 11月6日 記事掲載】

  東京都下水道局は、公共工事の入札で増加傾向にある不調・不落札の抑制策として、複数の企業から事前に見積価格を聴取し、それを予定価格に反映させる「見積もり積算方式」を試行する。都の工事発注では、建設局が1回以上不調となった再発注案件に限定して同方式を試行しているが、下水道局は再発注案件に加え、初めての入札で不調が予想される案件にも対象を拡大する。現在、適用を検討中の案件が7件あり、早ければ今月中に初弾工事を発注する予定だ。
  試行対象は過去に1回以上不調となった工事と、これまでの実績から入札参加者が見込めないと予想される工事。一般競争、希望制指名競争の両入札案件と、これらに総合評価方式を組み合わせた工事に適用する。不調案件については、その原因を調査した上で再不調が懸念されると判断した場合、工事を発注する各事務所に「審査委員会」を設置し、見積もり積算方式を採用するかどうかを決める。
  近隣工区の工事で既に不調が発生している場合など不調が予測される工事についても審査委で見積もり積算方式の可否を決める。採用を決めた場合は見積もりを求める範囲と、見積もりを依頼する企業を選び、見積もりを依頼。続いて業者側が提出した見積書の妥当性などを審査委で検証し、採用する見積価格を決めて発注手続きに移る。見積もりを依頼する企業は再発注案件の場合、最初の入札に参加した企業から選定。不調が予想される案件の場合は、近接工区や同種の工事に参加した実績がある企業などに依頼する予定だ。
  下水道局によると、同局発注工事の不調件数は03年度の1件(全入札件数1088件)に対して04年度が7件(同1012件)、05年度が11件(同1004件)、06年度が53件(同1137件)、07年度が104件(同999件)と急増している。最近は、原材料価格の高騰や、施工条件に対する受発注者間の見解の相違などが原因で、都の予定価格と受注者の応札価格が大きくかい離するケースが少なくないことから、市場の実勢価格を積算単価にできる限り反映させる見積もり積算方式の導入を決めた。当面は暫定措置として運用する。

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