2008/11/14 「予定価格後出し方式」採用を/脇雅史参院議員が提案/上限拘束されず不正防止も


【建設工業新聞 11月14日 記事掲載】

  自民党の脇雅史参院議員は、13日の参院国土交通委員会で予定価格のあり方に言及し、「予定価格の後出し計算方式」を提案した。予定価格を事前に作成せず、見積書と施工計画、技術提案書で建設業者を選定して仮契約を締結しておき、提出された見積書を基に厳正値に近い予定価格を積算し、入札価格が下回れば契約に至るという方式だ。実現すれば、予定価格の上限拘束性に左右されずに落札者を選定できる上、予定価格の漏えいを防ぐことも可能になりそうだ。
  予定価格について脇氏は「入札における参考値でしかない。会計法は市場を縛ろうというものではなく、上限値があるのは予算管理上、(発注者が必要な)お金を用意して契約するためのものだ」として、予定価格は目安に過ぎないとの見方を示し、落札率が90%を超えると問題視する風潮に疑問を呈した。その上で、発注者は事前に予定価格を作成せず、総合評価方式で見積書、施工計画、技術提案書を基に建設業者を選定する予定価格の後出し計算方式を提案した。提出された見積書を基に各部門を積算することで、発注者が厳正値に近い予定価格を作成。入札価格が上回る場合には、ネゴシエーションを行って契約に至る、または工事を取りやめるなどの対応を取る。
  国土交通省も、入札参加者の見積りを参考に予定価格を算出する「高度技術提案型総合評価方式」を試行している。既に34件を試行しているが、入札者から見積りの提出を得て発注者が予定価格を作成し、その後で入札を行う点で、脇氏の提案方式とは異なる。
  脇氏は、地方自治体などにはさまざまな圧力があり、予定価格を漏えいする発注者も後を絶たない現状を指摘し、「契約の不正につながっており、(予定価格が)なければ教えることもできず、良い方法だ」と述べた。脇氏はさらに、「財務省も会計法上、問題はないとしており、非常に合理的なやり方だ」と強調。「ぜひ、いくつかやってみてほしい」と提案方式の試行を国交省に要請した。

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