2008/11/17 上場ゼネコン/08年4~9月期決算/金融不安が直撃、収益環境厳しさ増す


【建設工業新聞 11月17日 記事掲載】

  上場ゼネコン各社の08年4~9月期決算が14日までに出そろった。この数年続く厳しい受注競争の影響を受け、売上高は軒並み前年同期を下回った。年度後半に収益計上が偏る業界特有の事情や、今夏まで続いた資材価格・人件費の高騰などマイナス要因もある中、半数超の企業は前年同期を上回る利益を上げたが、一方、営業赤字を計上した企業も10社超を数えた。相次ぐ新興デベロッパーの破たんも重なり、純損益は期初予想よりも大幅に低下した。景気の先行きに不透明感が増す中、建設市場も一層厳しくなると見込まれ、通期の業績も堅め予想に見直す動きが相次いでいる。
  4~9月期は土木工事が堅調に進ちょくした企業を除く社で減収が目立った。景気減速を受け建設計画が繰り越されるケースが相次いだことや、売り上げ計上に進行基準が適用される大型工事での遅れなどが主因だ。前期からの繰り越し工事の減少がそのまま4~9月期の減収につながった社もあった。会計基準の変更で、前年同期との単純比較はできないが、07年度に完成工事高が1000億円以上あった3月期決算上場企業25社中、増収は9社、減収は16社だった。
  営業損益は増益・損失縮小・黒字転換を含めた改善が14社、減益・赤字転落・損失拡大を含めた悪化が11社。経常損益は改善が計16社に対し、悪化が9社だった。採算重視の選別受注が奏功した企業がある一方で、原価高騰を請負代金に転嫁できず利幅圧縮を余儀なくされた企業もあり、明暗を分けた。海外事業に積極的な企業では資機材・労務費の急騰による採算悪化も業績低迷に追い打ちをかけた。デベロッパー破たんの影響を特別損失で処理したことなどで、純損益は11社が前年同期よりも悪化。改善はしても損失を続けている企業を含め18社が赤字決算となった。
  景気の減速傾向が一段と強まっていることから、通期の業績予想を期初より下方修正する企業も多い。マンション不況も改善の兆しが見えないため、建築分野でマンション建設のウエートが高い企業ほど予想は慎重だ。デベロッパーの破たん懸念を背景にした工事損失引当金の積み増しや、株価低迷に伴う評価損の計上などもあり、収益改善へのハードルは高そうだ。

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