2008/11/19 国交省/発注者の不適切行為、民間工事含め事例収集/甲乙間の法令順守徹底


【建設工業新聞 11月19日 記事掲載】

  国土交通省は、08年度末にも建設工事の発注者(甲)と元請業者(乙)間の法令順守ガイドラインを策定するため、業界団体を通じ発注者の不適切行為の事例収集に着手した。元請・下請業者間の法令順守ガイドラインは策定済みだが、建設生産システム全体を考えた場合、甲乙間にも法令順守を担保する仕組みが必要と判断した。「ガイドライン」の名称を使うかどうかは未定だが、民間工事を含め「設計変更に応じない」「未契約着工を強いる」といった発注者の不適切行為を列挙するとともに、望ましい対応のあり方を明示する。
  国交省は直轄工事で低価格受注が相次ぎ、下請業者へのしわ寄せが懸念されたことから、建設現場への立ち入り調査などを実施。元請・下請業者間取引の問題が顕在化したのを契機に、07年6月に元請・下請業者間の法令順守ガイドラインを策定した。さらに07年度に低価格受注問題検討委員会を設置し、元請業者にヒアリングを行ったところ、発注者の不適切行為も明らかになり、発注者向けガイドラインの必要性が指摘されていた。
  検討に当たり、国交省は全国建設業協会、日本土木工業協会、建築業協会、全国中小建設業協会、日本空調衛生工事業協会、日本電設工業協会の6団体に事例収集を依頼した。公共工事については、国交省も全国建設業協会とのブロック会議などを通じて、発注者の不適切行為を把握しているものの、民間工事も含めさらに幅広く発注者の不適切行為を収集するのが狙いだ。契約前の設計段階から完了検査後の幅広い段階について、発注者の不適切行為を挙げてもらう。
  例えば「契約書をくれない」「工期が極端に厳しい」「支払手形が長期にわたる」「引き渡し後も手直しを強要する」などの不適切行為を想定しており、28日までに各団体から事例を集める。国交省はこれらを類型化して整理し、法令順守に向けた発注者の不適切行為を列挙。併せて解決策の一つとして発注者が取るべき対応も紹介する考えだ。建設生産の適正取引を促進するには発注者の適正な対応が不可欠。事例収集に当たり国交省は、「特に民間工事での不適切な対応をどんどん挙げてほしい」(総合政策局建設業課)と話している。

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