2008/12/11 中小資金繰り支援の新融資制度、1カ月で119件に適用/国交省まとめ


【建設工業新聞 12月11日 記事掲載】

  国土交通省は、中小・中堅建設業者への資金繰り支援策として創設した公共工事の請負代金債権を使った融資制度「地域建設業経営強化融資」の実施状況をまとめた。制度開始の先月4日から今月8日までの間に、合計119件(下請セーフティーネット債務保証事業分も含む)の融資に適用され、融資総額は14億9000万円となった。新制度では、工事の出来高を超える部分に対する融資も可能となっているが、現時点では第1号案件は出ていない。国交省は、出来高査定などの負担軽減措置も年内に施行し制度活用を促す考えで、「資金繰りが厳しい年末や年度末に導入効果が出てくると期待している」(総合政策局)と話している。
  同制度は、既存の下請セーフティーネット債務保証事業を拡充したもので、建設業者の資金調達を円滑化するのが狙い。工事の出来高が2分の1以上に達した後、請負代金債権を事業協同組合などに譲渡し、これを担保にした転貸融資と、出来高を超える部分の債権を担保にした直接融資の形で、建設業者が工事代金を早期に現金化できるようにした。国交省のまとめによると、融資119案件のうち、事業協同組合関連からの融資が115件、前払金保証事業会社の子会社関連からの融資が4件だった。制度についての問い合わせは増えてきており、出来高を超える部分への融資についても相談があるという。単純比較は難しいが、下請セーフティーネット債務保証事業の昨年11月実績(88件)よりも増えている。
  地方自治体の発注工事でこの融資制度を利用するには、自治体が建設業者に工事代金債権の譲渡を認めることが必要となる。8日時点で、47都道府県中、32団体が既に譲渡を認めており、13団体が年内を目標に調整作業を進めているという。東京都と京都府では導入のめどが立っていないが、うち東京都は、新銀行東京に出来高超過分を対象に融資する制度があるため、対応を検討しているという。
  国交省は、既に成立している08年度第1次補正予算に、同制度活用時の出来高査定に対する支援(上限10万円)と、事務手数料の融資などを盛り込んでいる。正式な実施はこれからだが、既に融資が決まっている案件に対してもさかのぼって適用する。

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