2008/12/12 国交省、総務省/更生・再生申請会社の下請参加制限に歯止め/「元請の判断事項」


【建設工業新聞 12月12日 記事掲載】

  国土交通省と総務省は、地方自治体の一部に、発注工事の下請けに会社更生法や民事再生法の適用を申請した建設会社が入るのを制限するケースがあるとして、こうした下請制限を行わないよう都道府県と政令市に通達を出した。公共発注者の多くは、更生手続きの開始決定など再建のめどがつくまでは元請けとしての競争参加資格を停止する措置を取っているが、どの下請業者を使うかは本来、元請業者の判断。このため両省は、発注者がその権限範囲を越えて、再建手続きを進める企業を下請けから排除するような措置を取らないよう求めた。
  景気後退や金融機関の融資厳格化で建設会社の経営破たんが急増。08年に入ってから、りんかい日産建設(東京都)やオリエンタル白石(同)が会社更生法、長田組土木(山梨県)や四国開発(高知県)が民事再生法を申請して再建を目指している。会社更生や民事再生を申請した建設会社については、手続きの開始などが決定するまでは、元請として公共工事を受注できなくなるのが普通だが、発注者は自らの発注工事であっても、下請けとしての参加までは制限できない。しかし、最近、下請けへの参加までを制限する事例が、神奈川県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、徳島県など一部の自治体で発生したことから、両省はこうした制限をしないよう自治体を指導する通達に踏み切った。
  通達では、公共工事適正化指針に照らしても「下請への参加は元請けの責任において判断する事項だ」と強調。元請業者が責任を持って会社更生や民事再生を申請中の建設会社を下請けに使うなら、円滑な再建や雇用の確保を図る観点からも発注者が下請制限を講じるべきではないとしている。さらに、会社更生や民事再生手続きの申請を発注者が「不正または不誠実な行為」と同列に扱う例もあると指摘。中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)の指名停止モデルの趣旨にも沿わないとして、会社更生や民事再生が指名停止の対象ではないこともあらためて明確化した。

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