2009/1/5 多難な1年スタート/競争激化、一段と/淘汰・再編不可避か

【建設工業新聞 1月 5日 記事掲載】

景気回復が最重要課題となる09年がスタートした。建設市場の拡大が見込めない中、業界でも従来以上に厳しい競争が予想される。ぜい弱な国土を守り、国民に安全・安心を提供する役割を担ってきた多くの建設業者が昨年、存亡の危機に立たされた。瀬戸際の状況は今年も続く気配だ。不安定な経済情勢に、混迷を深める政局、解決策が見いだせない雇用問題など、多難が予想されるこの1年を業界各社のトップの発言から占った。

「不透明さが日増しに強まっている」(白石達大林組社長)、「社会情勢が一気に変わり、多方面で影響が広がっている」(竹中統一竹中工務店社長)、「生易しい経済情勢ではない。トンネルの中を走るようなもの」(中村満義鹿島社長)。ゼネコン大手各社のトップは、異口同音に先行きの不透明さを表現する。

景気の急激な悪化によって、供給過剰構造の建設業界が本格的な生存競争を迫られる状況は09年も変わらない。「再編はない。あるのは淘汰(とうた)だ」(杉晟佐藤工業社長)、「このままでは弾き飛ばされる会社も出てくるだろう」(五十嵐久也三井住友建設社長)、「これまでの体力勝負で弱った企業は大変だ」(宮本洋一清水建設社長)、「これから1年、し烈な争いの中で、明確な意志を持った戦略が重要だ」(山内隆司大成建設社長)。これらトップの言葉には悲壮感すら漂う。

競争激化が避けられない中、「何があっても低価格入札は避けなければならない」(小野俊雄ハザマ社長)との声も。減ったパイを安値で奪い合う体力競争はもはや限界に近い。適正価格での競争環境の整備が今年も業界の大きな課題になりそうだ。ゼネコン各社にとっては、価格勝負での勝ち残りでなく、企画提案力を受注に結び付ける体制への転換が急務。公共工事への総合評価方式の入札の浸透は各社の受注計画の不安定さを助長したが、提案力の向上こそが受注への確実な一歩になる。

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