2009/1/6 09年仕事始め/各社トップ、社員のモチベーション鼓舞/逆風に総力戦で

【建設工業新聞 1月 6日 記事掲載】

09年の仕事始めを迎えた5日、建設業界各社では、トップが社員に向けて年頭のあいさつを行った。「100年に一度の危機」とまでいわれる厳しい経営環境の下での新年のスタート。「本社も支店も現場も総力戦で戦う」(中村満義鹿島社長)、「100年に一度の気構えでチャレンジする」(宮本洋一清水建設社長)、「逆風こそ『筋肉質の利益成長企業』に変革する好機」(白石達大林組社長)などと、トップの口からは社員のモチベーションを鼓舞するメッセージが相次いだ。

日本経済全体が低迷期に入る中、建設業界を取り巻く環境も例年以上に厳しさを増している。「おそらく当社の歴史上最悪の市場環境」と分析するのは大成建設の山内隆司社長。同社はこれまでにない荒波を乗り越えるための新経営計画を作成する。計画達成の基本に「トラスト」(信用)と「キャッシュ」(現金)を掲げ、「再び安定した利益を生み出す企業になる」と決意表明した。取引先企業の信用不安が高まり、与信管理をこれまで以上に徹底するように呼びかける声も目立った。昨年度から営業活動のキャッシュフロー(CF)がマイナスに転じた大林組。白石社長は「健全なCFの維持は企業経営の根幹」と訴え、施工利益の向上や取引条件の改善などを進めてマイナス水準からの早期脱却に努める姿勢を打ち出した。

創立110周年の節目の年を迎える竹中工務店。竹中統一社長は「経営の基本は品質第一、顧客満足にある」とし、ものづくりへの原点回帰を唱えた。社会の動きが急激に変化する中で、顧客が求める建築を顧客とともにつくり上げることに注力する方針だ。清水建設の宮本社長も「ものづくりの追求を最重要課題の一つ」と位置付け、良いものづくりができる環境・人づくりに全社挙げて取り組む考えを示した。2000カ所に及ぶ自社の生産現場で、人材育成ややりがいを持って働ける環境・システム整備にまい進する。

世界的な景気後退で、製造業を中心に企業の設備投資意欲も急速に冷え込んでいる。こうした状況を受けて、鹿島の中村社長は「顧客の設備投資は社運を賭けた投資に厳選され、受注環境は一段と厳しくなる」と予想。本業の力である施工力の強化に焦点を当て、現場の力を活性化させて本業の利益向上に結びつける姿勢を強調した。

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