2009/1/16 国交省/情報化施工の管理要領整備に着手/基準見直しも検討

【建設工業新聞 1月 16日 記事掲載】

国土交通省は、情報通信技術(ICT)を利用する「情報化施工」に対応した施工管理要領の整備に着手した。同省は既に、「トータル・ステーション(TS)・GPSを用いた盛土の締め固め管理」など既存の二つの施工管理要領(案)を作成し、試験施工で課題や効果を検証中。併せて09年度には、「振動ローラの加速度応答による締め固めの品質管理」や「TSを用いた舗装厚の面的出来形確認」などの情報化施工技術の中から新たな要領(案)を作成する。情報化施工では施工管理の方法が従来とは大きく変わることから、必要に応じて施工管理基準の見直しも図る考えだ。

効率化や省力化など情報化施工の効果を十分に引き出すためには、発注者側の施工管理体制の見直しが必要とされる。情報化施工では、建設機械の稼働状況によって施工品質などのデータを連続的に得られるのが特徴で、発注者側の施工管理の方法が従来のままでは受注者が二重の管理を強いられるなどの懸念もあり、情報化施工に対応した施工管理要領や施工管理基準への見直しが不可欠になっている。

同省が既に要領(案)を作成・検証に入っているのは、道路・河川土工向けの「TSを活用した出来形管理」と「TS・GPSを用いた盛土の締め固め管理」。全国27件の試験施工で運用し、ブルドーザーや油圧ショベルの作業位置・標高などの情報をオペレーターに提供するマシンガイダンス技術や、作業装置を制御するマシンコントロール技術と併せて検証作業を進めている。

路盤や舗装厚の管理はこれまで、部分的な掘り起こしやコア採取によって行われてきたが、情報化施工では、部分ではなく面的な品質管理が可能。路盤のでこぼこ具合によっては、部分的に必要厚を満たさないケースも想定されるが、この場合の施工管理基準をどう考えるかも課題になる。同省はこうした情報化施工に応じた施工管理基準の見直しにも踏み込む考えだ。国土技術政策総合研究所や土木研究所の協力を得ながら09年度に施工管理要領(案)を策定した上で、10年度には各地方整備局の工事で試験施工に入る方針だ。

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