2009/1/19 上場ゼネコン/第3四半期決算ピークは2月10日/民間投資急ブレーキの影響危ぐ

【建設工業新聞 1月 19日 記事掲載】

上場大手ゼネコンのうち3月期決算企業の第3四半期(08年10~12月)業績発表が2月上旬に相次ぎ行われる。米国発の世界的な景気減速に陥った昨秋以降、それまで好調だった民間設備投資に急ブレーキがかかり、各社業績は予断を許さない状況だ。10~12月期中に、工事が中止もしくは延期された案件は多く、業績の先行指標となる受注高が順調に積み上がっているかどうかに関心が集まりそうだ。発表のピークは今のところ2月10日になる予定で、25社中12社の業績が出そろう。

ゼネコン各社の新春トップインタビュー(「09展望」を1面に連載中)でも、昨年秋の米リーマン・ショックを景気の変わり目とする見解で一致する。「中間決算までは良かった。秋口になり一変した」(宮本洋一清水建設社長)、「世界的な金融危機で、工事を控える動きが急速に広まった」(白石達大林組社長)など、第3四半期業績への影響を危ぐする声が相次ぐ。

公共投資の長期的な縮小傾向が続き、ゼネコン各社は民間企業からの受注ウエートを高めてきたところへ、金融危機が発生。その結果、「景気低迷で工場や住宅への投資意欲が冷え込んでいる」(山内隆司大成建設社長)。これまで景気をけん引してきたマンションや生産施設の工事案件が縮減している状況に、各社とも顔色は悪い。「ある程度大きな工事の受注を喜んでいたら、その2倍以上の金額の工事が中止になっている支店もある」(宮本清水建設社長)、「プロジェクトの中止・延期が相次ぎ、年間受注目標で1000億円程度が未達になりそうだ」(中村満義鹿島社長)など、工事の休止が各社業績の足かせになりそうだ。

このため、民間工事の落ち込みのカバーを公共工事に求める企業も多い。公共工事は大規模案件を中心に第4四半期(1~3月)に入札が集中する。そこで、「総合評価方式は企業の総合力が問われる。年度末に向け、全力を挙げ公共工事を受注していく」(前田靖治前田建設社長)という声も。ただ、「公共事業への期待が増しているが、民間投資の落ち込みを補完する分野はない」(山内大成建設社長)といった冷めた見方もあり、民間設備投資の落ち込みが各社業績に大きな影響を与えそうだ。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る