2009/1/26 平均落札率の下位市町村/対応に苦慮、改善進まず/本社調査

【建設工業新聞 1月 26日 記事掲載】

07年度に行った競争入札の平均落札率が低かった地方自治体を対象に、日刊建設工業新聞社が対応状況を取材したところ、現時点で特段の対策は講じていないというケースが多いことが分かった。工事の品質や管内の建設業者の倒産動向などに低落札率の影響が明確には見られないために、自治体側の問題意識が希薄な場合があるのに加え、「現状では対応が難しい」といった声も上がっている。建設業界の疲弊に対する懸念は抱いているものの、「どの価格や、どうしたやり方が適正なのか、答えが見えない」(ある自治体の担当者)といった意見もあり、担当者が対応に苦慮している面もありそうだ。

国土交通、総務、財務の3省が昨年12月に発表した「入札契約適正化法に基づく実施状況調査結果」で、07年度の平均落札率が低かった下位20市区町村から10団体を抽出し、対応状況を聞いた。取材対象団体の平均落札率は60%台~70%台前半だった。低落札率への認識については、「適正な契約だと思っている」「経費節減の観点からすれば低い方が良い」など問題意識を持っていないとみられる回答があった。「(対応を)これから検討する予定」との回答をこれに加えると、10団体のうち7団体は現時点で対策をまったく講じていなかった。

低落札率の影響については、「工事品質に支障は生じていない」「建設業者の倒産が増えているという声は聞いていない」との声が聞かれた。一方で、現時点では顕著な悪影響は見られないものの、「安ければ工事品質に影響が出かねない」と懸念を抱いている自治体もあった。この自治体では、本年度に最低制限価格を引き上げたが、低落札率の入札が頻発する状況が続いているという。

公共工事での著しい安値受注の頻発は、地域建設業の振興などの面から弊害が指摘され、国土交通、総務両省は昨年9月、地方自治体に対して適正価格での契約推進を求める緊急要請を出し、予定価格の事後公表への移行なども求めている。ただ、予定価格の事後公表への移行について、自治体の中には「事後にすると、予定価格の探り合いが始まる。国のようにチェックできれば良いが、難しい」とためらいもみられる。 

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