2009/2/12 大手ゼネコン08年4~12月期決算/海外の採算悪化重荷/2社が通期赤字予想

【建設工業新聞 2月 12日 記事掲載】

清水建設、鹿島、大林組、大成建設の上場大手ゼネコン4社は12日、08年4~12月期決算を発表した。海外大型工事の採算悪化を主因とする業績の落ち込みで、前年同期を上回る経常利益を確保できたのは大林だけ。売上高は大成を除く3社が前年同期を上回ったが、工事採算を示す完成工事総利益(粗利)率は、清水、大成の2社の土木がマイナス値になった。大成以外の3社は通期の業績予想を下方修正。4社そろって経常減益となる見込み。純損益ベースでは清水、大林が辛うじて黒字を見込むが、鹿島は5期ぶり、大成は7期ぶりに純損失に転落する。

世界同時不況や急速な円高・株安の進行などで事業環境は悪化。業績の先行指標となる受注高見込みも、清水、大林の2社が下方修正した。通期受注高予想に対する4~12月期の達成率は清水78・6%、鹿島76・2%、大成74・6%、大林73・7%。通期の売上高予想は清水と大林の2社がやや低めに修正。4~12月期の達成率は鹿島71・9%、大林69・4%、清水65・6%、大成62・1%となった。

相次ぐデベロッパーの経営破たんで、工事代金の一部に回収懸念が生じたことなどから、営業利益が予想より減少。円高による営業外費用の発生も利益を圧迫した。株価低迷による保有有価証券の評価損計上も避けられず、赤字転落の2社を含め4社とも純損益は前期を下回る見通しだ。

工事採算を示す粗利益率は、大林が前年同期よりも1・0ポイント高い4・8%だったほかは悪化。土木では清水がマイナス0・3%、大成がマイナス4・5%とマイナス値になり、鹿島も2・6%と前年同期(7・5%)の3分の1の水準にまで悪化した。海外工事の採算悪化が、全体の足を引っ張っている。

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