2009/2/13 競争新時代-総合評価の課題・1/手続き簡素化、望む声多く/国交省が対応措置

【建設工業新聞 2月 13日 記事掲載】

公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)が05年4月に施行されて以降、急拡大してきた総合評価方式の入札。国土交通省直轄工事への適用率はほぼ100%となり、地方自治体などの入札への導入も進展してきた。直轄工事では、最低価格者以外の応札者が落札する割合が増えており、価格と技術による競争は定着期に入ってきたといえる。しかし、実績が増えていくにつれて見えてきた課題も少なくない。国、建設業団体、ゼネコン、コンサルタント、地方自治体のそれぞれの側面から、現状を報告する。

国交省は昨冬、発注者と受注者の双方を対象に、総合評価方式に関する導入実態調査を行った。総合評価方式の導入効果では、「不良工事の減少」について、発注者と受注者の約4割が「効果が出ている」と答えた。「技術力を反映した競争の促進」についても、発注者・受注者ともに2割強が「効果が発現している」と回答。品質向上効果が認識されてきたことを裏付ける結果となった。一方で、課題も浮かび上がっている。発注者、受注者ともに手続きや事務負担の増加への懸念を指摘する声が多かった。さらに、建設会社側からは、技術提案内容の予定価格への反映や、評価結果の公表方法、技術提案に対する費用負担、受注機会の偏り、評価結果のばらつきなど、評価や費用をめぐる問題意識も目立った。

国交省は昨年10月、「公共工事における総合評価方式活用検討委員会」(委員長・小澤一雅東大大学院教授)の議論を再開。同12月の会合で実態調査の結果を報告しており、本年度の検討取りまとめに生かしていく。発注者と受注者の双方から改善への要請が強い手続きの簡素化は、簡易型の総合評価方式で対応が進んでいる。

国交省は、08年度第2次補正予算に盛り込んだ公共工事について、急激な経済情勢の悪化などを考慮し、できるだけ早期に発注する必要があると判断。緊急措置として、災害対応など小規模かつ工期が限定的な案件では、簡易な施工計画の提出を省略する方針を決めた。配置予定技術者のヒアリングも不要とするため、公告から入札までの期間を、現行の約7週間から約3週間へと大幅短縮できるとみている。今回は、補正予算案件を対象とした限定措置だが、総合評価方式の新タイプに位置付けることが議論される可能性もある。

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