2009/2/13 国交省研究会/内部統制構築指針を議論/経営者意識の重要性指摘

【建設工業新聞 2月 13日 記事掲載】

中小建設会社の法令順守や適正取引といった内部統制への自主的取り組みを促進する目的で国土交通省が08年12月に設置した「建設業における内部統制のあり方に関する研究会」(座長・高野伸栄北大大学院准教授)の2回目の会合が10日開かれ、報告書に組み込まれる「内部統制構築ガイドライン」について議論した。ガイドラインの目的について、経営者の意識啓発の重要性が指摘され、内部統制への関心を呼ぶためのチェックリストは、経営者に自社の取り組みを問いかける内容にするべきだとの意見が出された。再度、ワーキンググループ(WG)で議論を重ね、3月17日に研究会を開き報告書をまとめる予定だ。

同研究会は、検討に当たり中小建設会社5社にヒアリングし、内部統制について「日常業務にいかに自然に取り入れられるかが重要」「縦割りではなく部署間の連携が行えるよう留意している」「現場の手戻り軽減効果が期待できれば、構築に前向きになる」などの回答を得た。具体的事例として「現場パトロールでは、労務安全部だけでなく営業部も機能」「経営陣が現場を適宜チェックし、問題点を工事長に指摘」「一時的な受注増で技術者配置が困難な場合には、工事部長の指示により部署間で人材を移動」などの活動があることも分かった。

これらのヒアリング結果を基にまとめる報告書は、▽研究会の検討の経緯▽自主的取り組みに向けた内部統制構築ガイドライン▽内部統制の構築を促進する取り組み-で構成する。10日の会合ではガイドラインの素案が示され、議論では、中小建設会社の場合、経営陣の意識次第で会社の体制が決まってしまうことも多く、ガイドラインで経営者の意識啓発の重要性を指摘するべきだとの意見が相次いだ。このためガイドラインには内部統制に関する経営者の役割を盛り込むことになった。

中小建設会社に関心を持ってもらうために盛り込む自社の内部統制の取り組みに対する簡易チェックリストについては、実現のカギを握る経営者に問いかける内容とするべきだとの意見が出された。素案では▽見積もり段階の書類管理・相互チェック▽契約段階の記録管理▽施工段階の元下関係報告手順・情報共有-などの10項目をチェックリストとして提示したが、議論の結果。根本から項目を見直すことになった。

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