2009/2/23 合併ゼネコン受難/破たん連鎖止まらず/市場変化に経営改革追いつかず

【建設工業新聞 2月 23日 記事掲載】

合併した中堅ゼネコンの経営破たんが止まらない。一昨年のみらい建設グループ、昨年のりんかい日産建設、オリエンタル白石に続き、19日にはあおみ建設が東京地裁に会社更生法の適用を申請、受理された。合併の背景はそれぞれで異なるが、ゼネコンの合併が少ない理由として指摘されてきた「1+1が2にならない」という業界の「常識」を覆すには至らなかった。景気の急激な冷え込みで建設市場も混迷の度合いを増す中、生き残りをかけた各社の経営改革のスピードを上回る速さで淘汰(とうた)の波が押し寄せている格好だ。

あおみ建設は、旧佐伯建設工業と旧国土総合建設が合併して08年4月に誕生(合併時の社名は佐伯国総建設)した。海上土木工事を得意とするマリコン同士の経営統合として注目が集まったが、同年7月に「あおみ建設」へと社名変更後わずか半年余りで破たんを余儀なくされた。合併当初、稲田直治・前社長は「海上土木のほか、佐伯の建築、国総の地盤改良を三つの柱とし、収益基盤の早期安定化を図る」と抱負を語り、組織再編や人員削減などの合理化も率先して進めていた。

だが、新会社として業績改善に本腰を入れだした昨年半ばから市場環境が急変する。世界規模で景気が一気に冷え込み、業績見通しは下方修正を余儀なくされた。国内需要の低迷に加え、日系ゼネコンの下請けで入ったマダガスカルの港湾工事の採算悪化が響いて3期連続の営業赤字が濃厚となり、先月23日には業績見通しの下方修正と併せて、事業縮小・撤退や資産・人員リストラなどの合理化策を柱とした中期経営計画を発表。企業存続をかけた経営改革を打ち出した直後に、取引先のデベロッパー、ニチモが倒産し、工事代金の焦げ付きが発生するなどして行き詰まった。

ゼネコン業界は「供給過剰」による過当競争の問題が指摘されて久しい。それでも業界再編が進まない理由として言われてきたのが「1+1が2にならない」という業界の常識だ。得意分野や営業地盤、顧客が重なり合っているゼネコンが多く、合併しても補完効果が期待できず、効果は間接部門の合理化程度にとどまるとみられるためだ。しかし近年は市場縮小が一段と加速。合併で生き残りを図る中堅ゼネコンが増えてきたが、逆に合併会社の破たんが連鎖するという皮肉な結果を招いている。

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