2009/2/25 都道府県09年度予算案出そろう/税収減で投資的経費圧縮/大型公共事業望み薄

【建設工業新聞 2月 25日 記事掲載】

47都道府県の09年度当初予算案が24日出そろった。日刊建設工業新聞社のまとめによると、一般会計の総額は前年度比0・2%増の48兆2631億82百万円。景気後退による企業業績の急速な悪化で税収減が見込まれるため、基金の取り崩しや起債で減収分を補い、緊急経済対策に予算を充てる自治体が大半を占めている。ただ、緊急経済対策は雇用対策や中小建設業向けの工事発注に主眼が置かれており、大型公共事業の比重が高い投資的経費は前年度比3・6%減の7兆0421億83百万円にとどまるなど、建設業界にとってはインパクトに欠ける内容となった。

歳入面では、税収の柱の一つである法人2税(法人事業税、法人住民税)の減少が著しく、前年度比で3~4割程度落ち込むところが目立つ。だが、景気や雇用情勢が一段と悪化する中、雇用対策などに重点に置いた緊急経済対策を最優先で進める必要があると判断。福祉・医療助成などの義務的経費も増加傾向にあるため、財政再建を一時棚上げし、財政調整基金の全額取り崩しや臨時財政対策債(赤字地方債)の大幅増額に踏み切る動きが相次いだ。その結果、一般会計の規模は前年度とほぼ横ばいとした自治体が多く、秋田、和歌山、鳥取、島根、山口などは6~9年ぶりの増額となった。

一方で、大型公共事業の占める割合が高い投資的経費は軒並み削られた。投資的経費を削減したのは、知事選の影響で骨格予算とした山形、千葉以外に31県に上る。うち岩手、秋田、福島、栃木、新潟、静岡、山梨、愛知、奈良、兵庫、山口、福岡、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の16県は、一般会計は増額しながら、投資的経費は減らした。この中には08年度補正予算と一体的に09年度予算案を編成し、08年度補正と09年度予算を合わせた「13~15カ月予算」とすることで投資的経費を増加させた自治体もある。

09年度は法人2税の大幅減で済むものの、10年度は法人2税と並ぶ税収の柱である個人住民税の減収が見込まれる。さらに、08年度決算からは地方公共団体財政健全化法が本格適用されるなど、自治体に財政再建を迫る圧力が一段と強まる見通しで、10年度予算の編成はさらに厳しいものになりそうだ。

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