2009/3/3 国交省/総合評価方式ヒアリング結果/受注者間に対立意見、「短縮不要」の声も

【建設工業新聞 3月 3日 記事掲載】

国土交通省が、公共工事の受・発注者を対象に総合評価方式の入札についてヒアリングを実施したところ、双方からさまざまな課題が指摘された。両者が同様の問題意識を抱いているケースがある一方で、同じ受注者の間でも相反する意見が出た課題も少なくない。国交省は、「公共工事における総合評価方式活用検討委員会」(委員長・小澤一雅東大大学院教授)で進めている総合評価方式の運用に関する議論の材料にするが、運用方法を見直す場合には難しい調整も必要になりそうだ。

ヒアリングの対象は、国交省地方整備局や地方自治体、日本土木工業協会(土工協)と全国建設業協会(全建)の加盟企業など計18団体。先月24日に開かれた検討委の会合で報告されたヒアリング結果によると、入札手続きにかかる時間について、受注者側から、標準型総合評価方式の案件では技術資料の提出から入札までの期間を短縮してほしいとする声が上がった。応札者間で施工計画に差が生じないような案件には、実績重視型の総合評価方式を活用してほしいとの意見もあった。

しかし一方では、技術力を適切に評価するためには現行の手続き期間は必要で、「短縮の必要はない」との声も。土工協の会員企業からは標準型と高度技術提案型の案件について、全建の会員企業からは簡易型と標準型の案件について、それぞれ「短縮不要」とする回答があった。

技術提案の評価結果の公表についても受注者の間で意見が分かれた。「企業ノウハウにかかわらない一般的な内容であれば開示しても問題ない」「自社の技術力研さんの観点からも公表・通知が必要」といった意見や、「簡易な施工計画については公表を前提とし、契約後に公表すべきだ」との意見があった一方で、「公表を前提にすると自由な提案が阻害される」と否定的意見も出された。

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