2009/3/16 東京都内、前払金制度利用が急増/適用条件緩和で、資金繰り改善に効果/東保証

【建設工業新聞 3月 16日 記事掲載】

中小建設会社の資金繰り支援策として、東京都内の公共発注機関が前払金の支払い対象となる工事の条件を相次ぎ緩和した効果が、早くも出始めている。東日本建設業保証(東保証)の集計によると、1~2月の2カ月間に取り扱った都内発注で請負金額1000万円未満の工事の前払金保証件数は、前年の112件(請負金額約7億円)に対し、313件(同約14億6300万円)へと急増した。従来なら着工資金を自ら調達しなければならなかった工事でも、発注者から前払金を受け取れるようになったことで、中小建設会社の資金繰りの改善に一定の役割を果たしているようだ。

東保証の集計によると、都内発注工事の前払金保証件数は1~2月の実績で、300万円未満の工事が94件(請負金額約2700万円)、300万円以上1000万円未満の工事が209件(同約12億7000万円)。保証金額の合計は300万円未満の工事が約6200万円、300万円以上1000万円未満の工事が約4億4500万円となっている。前年同期の実績が300万円未満で12件(同約2700万円)、300万円以上1000万円未満で100件(同約6億8000万円)だったことを考えると、適用基準の緩和が保証制度利用の急拡大に直結した格好だ。

都と都内の区市は、着工資金の確保や円滑な施工に配慮する観点から、今年に入り、前払金制度の適用基準を相次ぎ引き下げている。都は1月19日以降発注の工事から、適用基準を「工期60日以上」から「予定価格150万円以上」に変更。新宿区は2月に入り「契約金額100万円以上」だった適用基準を「同50万円以上」に下げた。品川区は1月9日契約分から従来の「契約金額300万円以上」を「予定価格130万円以上」、工期も「60日以上」を「10日以上」に改めた。今年に入り都内の自治体で適用基準を引き下げたのは27区市に及ぶ。金融危機の影響で各金融機関は融資姿勢を厳格化させており、資金繰りに窮している中小建設業が多いため、業界内には対策の充実を求める声が高まっている。

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