2009/3/17 麻生首相/追加経済対策、複数年度見据え検討/インフラ整備目標の明確化も

【建設工業新聞 3月 17日 記事掲載】

麻生太郎首相は、16日の参院予算委員会で、景気の急速な悪化を踏まえた追加経済対策について、複数年度を見据えて内容を検討するとともに、インフラ整備目標を明確化すべきだとの考えを表明した。脇雅史氏(自民)の質問に対し、多年度の計画を構築していく方針を示した。首相は16日夜、関係閣僚や白川方明日銀総裁らをメンバーとする「経済危機克服のための有識者会合」も開き、有識者ヒアリングを開始。この結果も踏まえて早急に骨子を固め、来月中にも追加対策の政府・与党案を策定する。

脇氏は、経済対策として実施する社会資本整備について「補正(予算)では、単年度になってしまう」と問題点を指摘。計画的なインフラ整備につなげるには「3年や5年の多年度計画をつくってもらいたい」と首相の見解をただした。これに対し首相は「複数年度で考えないといけない」と応じ、道路整備事業を例に「道路では、3年で高規格道路が高速(道路)までつながると分かって、経済効果が出る。目標を明確化することが大事だ」との認識を示した。

首相は、多年度にわたる大規模な追加経済対策を早急に取りまとめるよう、13日に与党に指示していた。将来の経済成長を見据えた公共事業の実施も検討課題になる見通しで、09年度予算を大幅に前倒し執行し、09年度補正予算案を編成する流れになるとみられる。有識者ヒアリングは21日まで実施。成長インフラや低炭素・環境などについて幅広い分野の有識者から意見を聞く。

自民党も10日に「日本経済再生戦略会議」(会長・町村信孝前官房長官)を発足させ、中期プログラムの策定作業を開始した。国土交通省も、10日に開かれた経済財政諮問会議に成長戦略案を提示。この中で、羽田空港や成田空港の機能強化、環状道路の整備、超大型船舶に対応した産業港湾の刷新などを例示し、整備新幹線の着実な整備などによる地方経済の強化や、公的施設、住宅・建築物の耐震化といった安全対策、観光地の魅力向上なども掲げた。追加経済対策が具体化していく過程ではこうした案も反映されていくとみられる。

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