2009/3/18 自民国際競争力調査会/地域活性化へ中間提言案/14・7兆円の財政出動求める

【建設工業新聞 3月 18日 記事掲載】

自民党の「国際競争力調査会」(会長・尾身幸次元財務相)は17日、地域活性化につながるインフラ整備の実施などを柱とした中間提言案をまとめた。当面は財政再建よりも内需主導の景気回復を優先すべきだと指摘。道路や港湾、鉄道といったインフラや研究開発拠点の整備を柱に、総額約14兆7000億円の財政出動を求める内容となっている。羽田空港~成田空港間をリニアモーターカーで結び、15分で移動できるようにする案も盛り込んだ。総工費に約2兆円を見込んでいる。

中間提言案では、地方でのインフラ整備の加速に約11・6兆円、IT基盤の整備に約0・9兆円、新しい研究開発プロジェクトのスタートとして約1・7兆円の事業実施を掲げた。インフラ整備のうち、道路関係では、用地買収が済んでいる暫定2車線道路の4車線化や、大型コンテナ車が通行可能な幹線道路の整備、開かずの踏切対策などを盛り込んだ。このためには、事業費ベースで約5兆円の上乗せが必要だとした。

港湾については、パナマ運河が15年までに拡張されるのを見越し、国内の主要港湾で大型船の入港への対応工事を3年で行うよう提言。総事業費は15カ所で約1・5兆円を見込んだ。スーパー中枢港湾などハブ港湾の整備推進には当面、3年間で約4000億円が必要だとした。那覇空港の滑走路増設など空港の整備促進も掲げた。鉄道については、羽田空港~成田空港間のほか、東京~大阪間のリニアモーターカーの早期整備(総工費約7兆円)を提示。さらに、北海道や東北、北陸、九州の各整備新幹線について3年で整備を促進することも挙げた。残総工費は約2兆円となっている。

約9億円を投じ、3年間で約1100万人を対象とした下水道整備を行うことも盛り込んだ。電気通信ケーブルと電気ケーブルの地中化も、共同溝方式で進めることを提言。完全地中化には約7兆円が必要だとした。工事発注に当たって、分離・分割発注の推進や、地域貢献を考慮した発注方式の導入を進め、中小・中堅建設業者の受注確保に配慮するよう要請。交通保安員などの労務単価の早急な引き上げも提案した。

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