2009/3/19 日建連/需要創出へ決断の時、自民政調などに事業提案/4分野から具体策抽出

【建設工業新聞 3月 19日 記事掲載】

低迷する景気の浮揚策として、公共投資の集中実施を求める意見が出始めている中、日本建設業団体連合会(日建連、梅田貞夫会長)は、景気対策としての効果が期待できる社会資本整備の具体例を抽出し、自民党政務調査会などに提出した。「安全・安心のための補修・改築」など四つの分野でそれぞれ4事業を列挙。「100年に一度」とも言われる危機的経済情勢を踏まえ、「財政健全化を一時的に棚上げしてでも、大規模な需要創出策を実施する決断が必要」などと訴えている。

安全・安心のための補修・改築分野で提案したのは、▽建築物の耐震改修・バリアフリー化工事▽老朽化した橋梁・岸壁などの前倒し補修・改築▽豪雨対策▽ヒートアイランド現象に対応した路面舗装の打ち替え―の4事業。耐震改修・バリアフリー化工事は、学校や福祉施設、病院、公的住宅など公共性の高い施設を実施対象に挙げている。豪雨対策としては、雨水を貯留する調整池や調節池の整備、雨水を効率良く処理する地下河川や下水幹線の整備、ポンプの増強を列挙した。

社会資本整備の経済波及効果を高めるため、「既着工事業の前倒し執行」でも四つの事業を列挙。高速道路や幹線国道など都市間を結ぶ交通網の整備を進める意味から、施工の前倒しと暫定2車線区間の早期解消、整備新幹線の前倒し着工とスーパー中枢港湾の整備促進を挙げた。すべての公共事業の中から、残工事区間で用地などの条件が整っている個所を洗い出し単独着工することや、災害復旧工事の後年度分の事業を前倒しすることも実施例とした。

中長期的な視点で大きな経済波及効果などが見込める新規事業も四つ例示。具体的には▽首都圏3環状道路など大都市圏の環状道路▽羽田空港など三大都市圏に立地する国際空港の能力拡大と空港周辺整備▽拠点交通ターミナル地区の整備・再開発▽つくばエクスプレス(TX)の東京駅乗り入れ―を挙げている。このほか電線類地中化、連続立体化事業、老朽公的住宅の建て替えの前倒し、老朽民間マンションの大規模改修・建て替えも実施項目として提案している。事業を推進するためには、事業者や地方自治体の負担を軽減する必要があるとして、財政や税制、金融などの支援措置を臨時・特例的に講じる必要性も訴えている。

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