2009/3/27 自民国交部会、特命委/多年度視野に公共事業前倒し/追加経済対策に反映へ

【建設工業新聞 3月 27日 記事掲載】

09年度予算が27日に成立する見通しとなったことから、追加経済対策をめぐる自民党内の動きが加速してきた。国土交通部会(福井照部会長)は26日、公共事業について、多年度にわたる計画的な実施を視野に過去最大規模の前倒し執行を行うよう求める緊急決議を採択。事業の円滑化に向けた調査・設計と用地確保の推進、ダンピング対策の充実による適正価格での発注契約、地域の建設会社の受注機会確保も求めた。地域活性化特命委員会(野田毅委員長)も同日、国の公共事業に伴う地方自治体の財政負担を軽減するため、09年度から3年間で10兆円以上の財政支援を行うよう提言した。

米国発の世界同時不況で企業業績の悪化や雇用不安が深刻化する中、先に成立した08年度第1次・2次補正予算や、27日成立予定の09年度本予算に続き、切れ目のない経済対策が求める声が強まっている。国内の需要不足を補うためには大規模な財政出動が不可欠とみられ、自民党内ではさまざまな調査会やプロジェクトチーム、委員会が具体策を検討。09年度予算の成立が確実になったのを受けて、次の焦点である追加経済対策をめぐる動きがあわただしくなってきた。

国土交通部会が26日に行った緊急決議では、▽日本経済のけん引▽地域の元気回復▽低炭素革命-に効果のあるプロジェクトを中心に、将来の成長や豊かな生活の基礎となる事業の積極的な実施を求めた。公共事業の実施に当たっては、単年度ではなく多年度の視野で、成長力の強化につながる事業を計画的に実施するよう要請。入札契約制度改革の進展も勘案し、実質的に過去最大級の前倒し執行を目指すよう求めた。公共事業の円滑な実施に向け、調査・設計や公共用地のストック確保を積極的に進めるとともに、ダンピング対策の充実による適正価格での契約の推進や、分割発注による地域建設業者の受注機会確保への配慮も必要だとした。

地域活性化特命委員会も緊急提言をまとめ、国が直轄事業を行う際に自治体が負担する「直轄事業負担金」に充当できる交付金を創設し、これによって実質的に事業費の9割以上を国が負担する仕組みを設けるよう提案した。これらの内容は、同党の日本経済再生戦略会議(町村信孝会長)が近く取りまとめる追加経済対策にも反映される見通しだ。

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