2009/8/20 国交省 中小建設業の海外進出支援へマニュアル作成 意欲ある企業を後押し

【建設工業新聞 8月17日 記事掲載】

国土交通省は、海外進出に意欲的な地方・中小の建設業者を支援するため、本年度に「海外進出ビジョン・マニュアル」を策定する。地方・中小建設会社の中には、海外事業に関心は持っているものの、ノウハウがないため取り組みが進んでいない企業があるとされる。このため、中小建設業者などが海外に進出した事例を収集して分析し、海外事業の展開手順などを手引としてまとめる。中小企業の国際展開に対する各種の支援制度のうち、建設業者が使いやすい制度の一覧もつくり、海外展開を検討する際の参考にしてもらう。

国交省が昨年度、地方・中小建設会社を対象に実施した海外進出調査によると、回答企業840社のうち1割強の87社が「海外工事の請負実績は無いが、海外事業に関心がある」と回答した。このほか、海外工事の請負実績があると回答した企業も30社あり、うち20社は「海外工事を再び請け負いたい」と回答。海外展開に意欲のある企業が一定数存在していることが分かった。ただ、こうした中小建設会社も多くは、海外ビジネスのノウハウが十分ではなく、ネットワークもないことから、実際に海外展開を実現するのは容易ではないとみられる。

国交省は、こうした状況を踏まえ、中小建設会社の海外進出を支援する取り組みとして、マニュアルを作成することにした。海外進出の実績がある中小建設会社に対する調査を行うとともに、進出時の形態や、進出の手順、課題などを分析し、マニュアルに反映させる。中小建設会社の海外進出支援は、国交省の「建設業等の国際展開支援フォーラム」(座長・寺島実郎日本総合研究所会長)が近く取りまとめる提言にも盛り込まれる見通し。提言案では、マニュアル作成に加え、海外展開を先導的に行う企業に対する支援や、法律やマネジメント分野などの相談に乗るアドバイザー制度が、検討課題として挙がっている。

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