2009/8/25 国交省/下請の資金繰り支援で恒久策検討へ/有識者研究会立ち上げ

【建設工業新聞 8月25日 記事掲載】

国土交通省は、下請建設業の資金繰りに関するリスク負担を軽減するため、新たな施策の検討に着手する。現在も、下請業者などが持つ売掛債権の買い取り円滑化を図る「下請資金繰り支援事業」といった対策を講じているものの、時限的な取り組みにとどまっているため、恒久的な新制度を検討することにした。下請資金繰り支援事業など既存施策を参考にしつつ、どのような仕組みが可能かを探っていく。検討に当たっては、弁護士や公認会計士などを交えた研究会を立ち上げ、方向性を詰めていく。

元請業者から下請業者への工事代金の支払いでは、下請業者が工事を終えて請求をしてから実際に現金を手にできるまでには時間がかかるのが一般的。代金が長期の手形で支払われるケースもある。この間に元請業者が倒産してしまうと、下請業者は工事を行ったにもかかわらず、代金を回収できなくなるというリスクを負っている。こうした状況を踏まえ国交省は7月、「下請資金繰り支援事業」を開始。下請業者が工事代金債権や手形をファクタリング(売掛債権買い取り)会社に譲渡して期日前に現金化する際、下請会社が支払う金利負担の軽減と、元請業者が倒産した場合のファクタリング会社への損失補償を行っている。

売掛債権の買い取り自体は以前から可能だったが、リスクの高さなどが課題となっており、国費によるこうした支援を行うことで買い取りのハードルを低くした。下請業者は手形などを早期に現金化でき、元請業者の倒産リスクをファクタリング会社に移転しやすくなった。ただし、今回の支援事業は政府の経済危機対策(追加経済対策)に基づく臨時的な措置との位置付けで、11年3月末に事業は終了する予定となっている。

国交省は、事業終了後も「下請のリスク負担を軽減する対策を講じていくことが必要」(小澤敬市国交省建設流通政策審議官)とみており、「恒久的な制度のあり方を検討する」(同)考え。有識者らの意見を踏まえて具体的なイメージを固める。同省は、現在の支援事業についても引き続き活用促進を図っていく。この事業に参入しているファクタリング会社は現時点で3社だが、「たくさんのファクタリング会社が参入することが大事」(同)として、積極的な参入を呼び掛けていく。

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