2009/9/1 「民主新政権」に不安と戸惑い/業界、経済対策と公共事業の継続推進求める

【建設工業新聞 9月1日 記事掲載】

民主党が歴史的な大勝を果たした衆院選。政権交代が現実のものになったことで、国民の間には変革への期待が高まる一方、建設業界には不安も広がっている。今回の選挙で民主党はマニフェスト(政権公約)に大型公共事業の全面見直しを掲げるなど、今後、公共事業が大幅に削減される懸念があるためだ。日本建設業団体連合会(日建連)などの業界団体は、景気対策の重要性を訴え、社会資本整備の着実な推進を求める談話を相次ぎ発表。地方の建設業界からも地域に貢献する地元建設業への理解を求める声が上がった。民主党は10年度予算の概算要求を全面的に見直す方針も掲げており、31日に概算要求を財務省に提出した国土交通省も戸惑いを見せている。

選挙から一夜明けた8月31日、ある程度予想されたとはいえ、絶対安定多数をもはるかに超える民主党の圧勝に、建設業界は戸惑いを隠せなかった。日本土木工業協会(土工協)の中村満義会長は「内需中心の景気回復の一層の促進が必要との考えから自民党を支援したが、このような結果になり残念だ」とコメント。新政権には「景気対策を引き続き推進するとともに、国民生活と経済の基盤である社会資本整備の着実な推進に配慮する」よう求めた。

日建連の野村哲也会長も、選挙結果を「国民の変化を求める意識がいかに大きなものだったかを強く感じている」と評価し、新政権には「必要に応じてさらなる経済対策を講ずるなど、内需拡大に向けた経済運営に取り組んでほしい」と要望。全国建設業協会(全建)の淺沼健一会長も計画的な社会資本整備とそれを担う建設業の役割への理解を求めた。

地方業界からは、老舗建設会社の倒産が続く厳しい状況下で、民主党政権への不安の声が挙がった。宮城県建設業協会の佐藤博俊会長は、民主党が09年度補正予算の執行停止や公共事業費の削減を実施すれば「死活問題となり、企業存続はもとより、宮城県沖地震などの大規模災害への対応にも影響を及ぼす」として、地元建設業が適正な利益を確保でき、持続的企業運営が可能な環境整備を要請。神奈川県建設業協会の三木祟雄会長も「地域建設業の健全な育成にも配慮し、公約で掲げた『活気に満ちた地域社会づくり』にハード面からも計画的に取り組んでほしい」と要望した。

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