2009/9/1 国交省/10年度予算概算要求/公共事業費16・8%増、「安全・安心」など重点

【建設工業新聞 9月1日 記事掲載】

国土交通省は8月31日、10年度予算の概算要求を発表した。重点施策は「安全・安心」「暮らし・環境」「活力・成長力」の三つ。一般会計の要求総額は前年度比20・0%増の7兆6260億円で、うち災害復旧を含む公共事業費の総額は16・8%増の6兆6150億円となった。安全・安心施策としてゲリラ豪雨への対策強化や、交通インフラと住宅・建築物の耐震化に力を入れるほか、暮らし・環境施策として中古住宅の市場拡大や住宅の省二酸化炭素(CO2)と長寿命化、エコ・コンパクトシティーを実現する基盤整備に重点を置く。地域の活力を高めるための支援策や、国際競争力の強化に向けた中枢港湾のコンテナターミナル整備と空港アクセスの改善も盛り込んだ。

同省は、地方の直轄事業負担金について現行制度が維持されることを前提に公共事業費の要求額を算定した。財政投融資の要求額は25・8%増の3兆3653億円。各高速道路会社に対する財政投融資は09年度が最終年度のため要求はない。同省は概算要求に当たり、重点3施策の中でも、▽災害等から国民の命を守る▽日常生活の安全・安心対策の強化▽生活者の豊かな暮らしの実現▽地球環境対策・低炭素社会の実現▽地域の自立・活性化▽成長力・国際競争力の強化-の6項目を柱に据えた。

安全・安心施策では、ゲリラ豪雨による水害・土砂災害への緊急対応の強化に2160億円を計上。地下河川や調整池や、洪水予防対策としての高精度レーダー「XバンドMPレーダー」の整備などを推進する。公共交通インフラや住宅・建築物の地震対策には736億円を充て、主要鉄道での耐震補強の緊急的実施や空港の耐震事業、耐震強化岸壁などの整備を進める。高度経済成長時代に集中投資した社会資本ストックの老朽化対策には3159億円を計上。長寿命化計画を策定し、点検から補修・更新までの予防保全を計画的に行う。

暮らし・環境施策では、既存住宅の流通円滑化とリフォーム市場の整備に130億円を要求。住宅履歴情報の蓄積やインスペクション(既存住宅の現状調査)、瑕疵(かし)リスクに備えた保証・保険制度の活用を合わせて行うための支援制度を創設する。住宅・建築物の省CO2対策・長寿命化を推進する事業には650億円を盛り込んだ。

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