2009/9/3 政権交代、どこにどう影響?/国交省、政策集を検証/国幹会議廃止、全ダム凍結

【建設工業新聞 9月3日 記事掲載】

民主党への政権交代によって、国土交通行政はどう変わり、建設業界にはどのような影響が出るのか―。新政権の枠組みがまだ明確に見えない中、国土交通省や業界内にはさまざまな見方が交錯している。民主党が総選挙前に打ち出していた国土交通関係の政策の中ではこれまで、高速道路の無料化や、八ツ場ダム(群馬県)と川辺川ダム(熊本県)の建設事業中止ばかりがクローズアップされてきたが、もちろん影響はそれだけでなさそうだ。民主党がマニフェスト(政権公約)に先立ち、7月に発表した政策集「INDEX2009」には、同党の目指す政策がより詳細に記載されている。政策集を基にその影響を探った。

政策集は、7月時点の民主党の政策をまとめたもので、同党のマニフェストのベースになっている。政権交代によって、民主党が具体的にどのような政策を展開するのか。現時点では材料がないため、国交省内でも政策集の内容の検証が進められている。政策集によると、道路行政については、これまでの中央集権の国の形を地方分権へと変える突破口に位置付け、道路その他の社会資本整備に関する行政を根本的に改革する方針だ。道路整備における国と地方の役割分担を見直し、道路整備の権限を大胆に地方に移譲。国には高速自動車国道を、地方には自ら必要とする道路を担当させるという。高速自動車国道の整備について審議する現在の国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)も廃止を打ち出した。

公共事業に関しては、すべての社会資本整備関連計画を一本化するとともに、計画は国会の承認事項にするとした。事業の再評価や事後評価の仕組みを盛り込んだ「公共事業コントロール法」を制定。効率的で地域の実情に合った、本当に必要とされる公共事業を推進するとしている。ダムについては、八ツ場ダムや川辺川ダムに限らず、計画中または建設中のダムをすべて凍結し、一定期間をかけ自治体や住民と必要性を再検討する考えだ。

これらの政策は7月時点の内容であり、このまま実施に移されるかどうかは未確定。その影響は完全には測りかねるものの、マニフェストでも大型公共事業の全面見直しや、政策の財源を公共事業費などからねん出する方針が打ち出されており、公共事業費が削減されることは間違いなさそうだ。

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