2009/9/8 補正予算凍結/自治体首長から懸念の声/民主新政権方針に不安隠せず

【建設工業新聞 9月8日 記事掲載】

新政権を担う民主党が掲げている09年度補正予算の執行凍結について7日、地方自治体から「県の補正予算も執行を凍結せざるを得ない」(広瀬勝貞大分県知事)、「地方は少なからず混乱する」(神田真秋愛知県知事)などと影響を懸念する声が相次いだ。景気・雇用対策として5月29日に成立した09年度補正予算は、かなりの事業が既に内示・交付決定を受け、各都道府県で執行準備に入っているという。公共事業についても、「実情というものがある。(県内では)まだまだ雇用情勢も改善していないという認識だ。しっかりやってほしい」(吉村美栄子山形県知事)と継続を望む意見が聞かれた。

09年度補正予算は、補正予算としては歳出規模が過去最大の13兆9300億円となった。「100年に一度」といわれる経済危機を乗り越えるため、「景気の底割れ」を防ぎ「生活者の安心」を確保し、「未来への経済成長」につなげる事業が盛り込まれた。だが、民主党は未執行分の補正予算の執行を原則停止する方針を掲げており、今後、財務省も交え、執行停止が可能な費用の仕分け作業を本格化させる方針だ。

こうした動きについて、神田愛知県知事は7日の会見で、「(補正予算の事業は)あらかた内示、交付決定を受け、準備を進めている。凍結となれば、地方は少なからず混乱する」と発言。不安材料として、民主党の掲げるガソリン税などの暫定税率廃止に伴う地方税の歳入欠陥や、子ども手当て導入に伴うそのほかの政策へのしわ寄せなどを挙げた。村井嘉浩宮城県知事も7日の会見で、「全国の自治体に大きな混乱が起こると心配している」「本年度分は動きだしており、急に方向を変えるのは大変な作業になり、何より県民に迷惑かける」と述べた。

広瀬大分県知事も7日の県議会の一般質問で、補正予算の執行停止が行われた場合、「財源がなくなるわけだから、(県の補正予算も)執行を凍結せざるを得ない」と答弁。「県民生活に及ぼす影響は重大なものがある」と発言し、地方が声をそろえて執行停止に反対すべきだとの認識を表明した。知事の多くは、民主党が政策として掲げる「地域主権」には大きな期待を示しているが、一方で初めて経験する本格的な政権交代に伴う急激な政策転換による不安も隠せないようだ。

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