2009/9/16 新政権9月16日発足、地方建設業の対応は?/個別事業の中止、難しい事情も

【建設工業新聞 9月16日 記事掲載】

民主党中心の鳩山新政権が16日に発足するが、公共事業や地元建設業にどのような政策を打ち出すのか、業界の不安と関心が高まっている。日刊建設工業新聞社が各都道府県の建設業協会に取材したところ、「地方の実態を理解せず、さらに大幅な公共事業の削減や調達コストの引き下げを実施するのではないか」「企業の存続はもとより、大規模災害発生時の迅速な対応にも影響を及ぼす」といった声が聞かれた。ただ、長崎、京都、北海道の各建設業協会が各道府県の民主党総支部連合会に出した質問状への回答を見ると、県内公共事業を一律に削減する方針は示しておらず、具体的な「不要事業」も挙げてはいない。党の方針として公共事業の削減を掲げていても、各地域の事情を勘案すると個別事業の中止は難しいという事情も垣間見える。

各建協から寄せられた意見では、公共事業を見直して1・3兆円の予算をねん出するといった民主党のマニフェスト(政権公約)の内容に不安を訴える意見が大半を占めた。判断材料がマニフェストしかなく、どのような政策運営を行うかが不明なためだ。長崎、京都、北海道の3協会は建設関連業団体と連携するなどして、民主党の道府県連にそれぞれ質問状を提出。いずれも衆院選前の8月20日までに回答を得た。

それらの回答内容をみると、県内公共事業の削減について、長崎県連は「一律半減ということはない。ひも付き補助金を廃止し、地方が自由に使える交付金として配分する。地方の判断で公共事業を進める」と回答。京都府連も「やみくもに(公共事業)拡大を目指す立場は取っていない」とする一方、「効率的で地域の実情に合った、本当に必要とされる事業を推進するため必要な予算を確保する」と答えた。北海道連は「必要な公共事業を地域主導で推進する」と回答。補正予算に組み込まれた道内の直轄工事、補助工事については、「景気対策・経済危機対策の観点からも凍結・解約を行うつもりはない」と表明した。

県内に不要な公共事業があるかどうかについては、長崎県連が「不必要と判断した事業は今のところない」と回答。西九州自動車道、九州新幹線についてはいずれも「推進する」と明言した。北海道連も高速道路建設は「進める」、北海道新幹線は「道民の理解を得ながら進める」と回答した。

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