2009/9/17 国交相就任の前原誠司氏、公共事業問題に精通/「ダムはいったんすべて凍結」持論

【建設工業新聞 9月17日 記事掲載】

前原誠司新国土交通相は京都府出身で47歳。京大法学部を卒業後、87年に松下政経塾に入り、91年に28歳で京都府議に初当選した。93年7月の衆院選に出馬して初当選して以来、6期16年を務める。

05年9月~06年4月には民主党代表を務めたほか、党内では公共事業改革プロジェクトチーム座長や道路関係特殊法人ワーキングチーム座長、新しい公共事業のあり方調査会会長、「次の内閣」での社会資本整備担当を歴任。「公共事業基本法案」「国の公共投資関係費の量的縮減を図る法律」「緑のダム法案」などを議員立法として国会提出するなど公共事業問題に精通している。

01年2月の衆院国土交通委員会では、民主党の社会資本整備の政策責任者として、当時の扇千景国交相と公共工事のあり方をめぐって対立。「私は公共工事が無駄だと言ったことは1回もないが、無駄な公共事業はやめるべきだ」と述べ、不要な公共事業の廃止論者として一躍脚光を浴びた。旧道路公団問題や道路特定財源の一般財源化問題などについて自らのホームページで解説するほどの公共事業通だが、得意とするのはダム問題。岩手県の胆沢ダムをはじめ、熊本の川辺川ダムや大阪府の紀伊丹生川ダム、鳥取県の中部ダムなどの現場に自ら足を運び、視察を繰り返している。

ダム問題での持論は「ダム建設はいったんすべてを凍結すべき」。「ダムは全くいらないというつもりはない」としながらも、気候変動の影響で局地的集中豪雨が増えている状況などから「ダムによってすべての洪水を防ぐことは無理」と主張。環境や地域への配慮、コスト縮減の観点から河川改修による治水効果も十分に検討すべきだと説く。「ダムと河川改修で、同じ治水効果を生むためにどちらのコストが高いのか」を再検討した結果、ダム建設が中止となった鳥取県の中部ダム計画にも詳しく、民主党がマニフェストで中止を掲げた八ツ場ダム問題での議論も熱を帯びそうだ。

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