2009/9/17 鳩山新政権発足/国交相に前原誠司氏/難題山積、業界「経済対策継続を」

【建設工業新聞 9月17日 記事掲載】

民主党の鳩山由紀夫代表が16日午後の衆参両院本会議で第93代60人目(現憲法下で29人目)の首相に指名され、民主、社民、国民新の3党連立新政権が発足した。政権交代は非自民の細川連立内閣以来、16年ぶり。鳩山新内閣の国土交通相には前原誠司氏が就任した。前原氏はこれまで、党の公共事業改革や高速道路のプロジェクトチームで座長を歴任するなど国土交通行政に明るい。国会でも道路関係公団の民営化問題などで厳しい追及を重ねてきただけに、今後、八ツ場ダム(群馬県)の建設中止などの大型公共事業の見直しや、高速道路無料化、ガソリン税などの暫定税率廃止などでどのようなかじ取りをするのか、注目を集めそうだ。

鳩山新政権の発足に対し、建設業界も同日、コメントを発表し、政策運営への期待と要望を表明した。日本建設業団体連合会の野村哲也会長は、「国民の負託に応えるべく、経済・財政分野、社会保障分野など、わが国が抱えるさまざまな課題に迅速かつ適切に対処されることを期待する」とし、「とりわけ当面する経済危機への対応は最大の課題」と指摘。「内外の経済情勢を的確に見極めつつ、内需拡大に向けた機動的な経済運営に取り組んでほしい」と要望した。日本土木工業協会の中村満義会長も、「景気回復に向け、さらなる取り組みを強力に推進されることを期待する。景気回復の流れを失速させることなく、内需拡大を柱とした経済対策を推進してほしい」と表明。全国建設業協会の淺沼健一会長は同日の会見で、「政権交代があっても協会活動の基本的スタンスは変わらない」として、新政権にも社会資本整備の必要性などを訴えていく考えを表明。景気対策としての公共投資の重要性もあらためて指摘した。

新大臣を迎える国交省内も、職員の間に期待と不安が交錯した。民主党がマニフェストで示した八ツ場ダムや川辺川ダム(熊本県)の事業中止や高速道路の無料化、暫定税率廃止などの政策は、従来の同省の施策とは大きく乖離(かいり)している。多くの職員が、これまでの政策・事業の経緯や効果、社会的影響に耳を傾け、適切な政治判断をしてほしいと考えており、トップの国交相のいすに誰が座るかは最大の関心事だった。前原氏が国交相としてどのような判断を行っていくのかを、多くの国民が注視している。

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