2009/9/25 公共事業の見直し加速/政策転換の波紋広がる/アニメの殿堂、豊洲市場も焦点に

【建設工業新聞 9月25日 記事掲載】

鳩山新政権による公共事業見直しの動きが本格的に始まった。前原誠司国土交通相は23日、民主党がマニフェストで打ち出した八ツ場ダム(群馬県)の予定地を視察し、事業中止の方針をあらためて表明。川端達夫文部科学相も「国営マンガ喫茶」と批判を浴びていた「国立メディア芸術総合センター」(アニメの殿堂)の新設見送りを決めた。赤松広隆農林水産相は24日、東京都が進める築地(中央区)の中央卸売市場の移転問題で、土壌汚染問題を抱える豊洲地区(江東区)の移転予定地を視察し、早期に移転の可否を判断する意向を示した。岡田克也外相は米軍施設の再編計画の見直しを提起している。既に動きだしている事業の見直しは、結論によっては影響も広範囲に及ぶだけに、関係者は難しい対応を迫られる。

八ツ場ダムを23日に視察した前原国交相は、全国143のダム・導水路事業の見直し問題にも言及し、「本体工事の着工、未着工が見直しの判断基準の一つになる」との認識を示した。前原国交相は26日に川辺川ダム(熊本県)の現地を訪れ、建設中止を打ち出す。ダムを皮切りに道路や合同庁舎などの見直しに向けた検討も加速する方針だ。

政府が18日に公表した09年度補正予算の執行停止に関する方針に即座に反応したのは川端文科相。22日に09年度補正予算に整備費117億円が盛り込まれた国立メディア芸術総合センターについて「新たに建物を建てる必要はない」と明言。人材育成などソフト面を中心とした振興策に切り替えることを決定した。さらに、23日には東京海洋大学と東京国立近代美術館フィルムセンター相模原分館も視察した。

赤松農水相は24日、築地市場と移転予定地の豊洲地区を視察。「現施設が狭あい化、老朽化していることは事実で、何らかの改善は必要だ」との認識を示す一方、深刻な土壌汚染が発覚した豊洲への移転については「私自身が絶対に納得できなければ(移転許可の)サインはしない」と強調した。7月の都議選では、築地市場の豊洲移転計画に反対する民主党が第一党に躍進。これに今回の政権交代も加わり、移転計画の行方はさらに混とんとしてきた。赤松農水相は早期に結論を出す方針だが、結論によっては都も一段と厳しい状況に追い込まれそうだ。

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