2009/9/30 鳩山政権、公共事業の見直し加速/国交省10年度予算、「相当の抑制型」に

【建設工業新聞 9月30日 記事掲載】

鳩山政権が公共事業の見直しを加速させている。前原誠司国土交通相は29日の閣議後会見で、10年度予算の概算要求を「相当の抑制型予算」とし、建設中止を明言している八ツ場ダムの本体工事費も盛り込まない方針を表明した。航空機燃料税や航空会社が支払う空港使用料などを財源に空港整備などを行っている社会資本整備事業特別会計空港整備勘定(空港特会)についても「抜本的に見直す」と述べ、同日の閣議で決まった各省の新たな概算要求の再提出日(10月15日)までに結論を出す考えを示した。

前原国交相は10年度予算概算要求の検討状況について「人口減少や国の抱える借金などを考慮すれば、国交省だけがお金をもらうわけにはいかない。数値目標は政務三役会議で話し合うが、相当程度を抑制する覚悟で詰める」と表明。その上で「今日(29日)の閣議で鳩山総理から概算要求の段階で既存予算を相当に削減してほしいといわれた」と述べ、現行の概算要求からの一層の削減を求められたことを明らかにした。麻生政権下でまとめられた国交省の10年度予算概算要求は一般会計が前年度比20・0%増の7兆6260億円で、うち公共事業関係費は21・2%増の6兆9506億円となっている。

八ツ場ダムについては、「本体工事は中止するため、来年度予算の概算要求には盛り込まない。藤井裕久財務相にも理解してもらった」とし、「地元の生活再建関連費は継続して計上する」との方針を示した。また、143の直轄ダム・導水路事業の見直しを進める一方、国が事業費の一部を負担する自治体主体のダムを見直す場合は「いきなりばっさりはしない。自治体と話し合う」との考えを示した。

本年度の当初予算額で5280億円を計上している空港会計の見直しでは、難航している日本航空の再建問題と絡め、「特別会計の予算枠があるため採算の合わない空港整備を進めた。その結果、航空会社に不採算路線の維持を強いた」と指摘。「予断を持たず、10年度予算の概算要求の締め切り日(10月15日)までに抜本的な改革案をまとめる。藤井財務相からも思い切ってやってくれといわれた」と述べ、来年度予算編成に反映させる考えを示した。

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