2009/10/5 関東整備局/八ッ場ダム本体工事の入札中止/群馬県議会は建設推進要望

【建設工業新聞 10月5日 記事掲載】

国土交通省関東地方整備局は2日、前原誠司国交相が建設中止を表明している八ツ場ダム(群馬県長野原町)の本体工事の入札を中止すると正式発表した。入札手続きは当初、9月11日に始まる予定だったが、同ダムの建設中止を政権公約に掲げた民主党が8月末の衆院選で圧勝したのを受け、国交省は「新大臣の判断を仰ぐ」として延期を決めていた。今回、入札の取りやめが決定したことで、建設中止に向けた手続きが一歩進むことになる。ただ、群馬県など地元や関係自治体、住民らは建設中止に強く反発しており、事業の先行きは不透明だ。

前原国交相は就任直後から同ダムの建設中止方針に変わりがないことを一貫して明言。9月29日の会見では既に「10年度予算の概算要求に本体工事費は盛り込まない」と表明していた。同ダム本体工事は、高度技術提案型(III型)の総合評価方式による一般競争入札として、今年1月に発注公告が行われた。入札参加を希望する複数の企業グループが技術提案を行っていたとみられる。提案書の作成にかかった費用は1グループ当たり1億円を超えるともいわれており、入札手続きの中止決定は、建設業界にも波紋を広げそうだ。

一方、関係自治体は入札手続きの中止決定を「一方的だ」と批判。1日に建設推進を求める意見書を賛成多数で可決し群馬県議会の原富夫議長は2日、前原国交相を訪ね、意見書を提出。原議長は「八ツ場ダムは国と関係1都5県が法律に基づき実施している共同事業にもかかわらず、本体工事の入札や工事の中止が関係自治体に連絡もなく行われた」と指摘し、「予定通りに全事業を完成させてもらいたい」と強く迫った。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る