2009/10/9 土工協・中村満義会長/行政への意見表明、時機見極め必要/海外進出後押し歓迎

【建設工業新聞 10月9日 記事掲載】

日本土木工業協会(土工協)の中村満義会長は8日の理事会後の記者会見で、前原誠司国土交通相が大手ゼネコンの成長戦略として海外への積極進出を打ち出したことについて、「外に活路を見いだす過程で国が支援を講じるという姿勢は大歓迎だ」と述べ、具体策を練るために国交省が設置する「成長戦略会議」の検討に期待を表明した。中村会長は前原国交相の方針について、「大手が生きていく道は海外ではないのか、という考えを示されたのだと思う」との認識を示した上で、「大手は海外と言っている以上、中小・中堅規模の会社についても政策を講じてもらえると信じている」と語った。

国内の大手ゼネコンは海外の大手に比べ受注の多くを国内に依存している。鳩山新政権は公共事業の削減を打ち出し、国内市場の縮小は避けられないことから、成長戦略会議では、大手ゼネコンが人材と技術力を生かして海外に積極進出するのを後押しする施策が検討される見通しだ。中村会長は「どういう施策を国交省が考えるのか、現時点では明らかでない」としつつも、「進出に際して何が障害になっているのか、というところから検討しようという姿勢であることを歓迎する」と述べた。

会見では、竹中康一副会長も「諸外国は国のバックアップを受けて国際入札に臨んでくる」と国の後押しに期待を表明した。村重芳雄副会長は「日本の技術は海外でも負けるところはない。リスクの問題をどこまで応援してもらえるのか、ヒントが得られればと思う」とする一方、「国内市場の穴埋めで海外にという考えでは厳しい」とも指摘。大田弘副会長も「海外進出は決して甘くない。国対国の戦いであり、プロジェクトの規模が大きくなるほど差異が出てくる」と強調した。

官僚主導から政治主導への転換を図る鳩山新政権の方針が、建設業界で従来行われてきた官民の意見交換などに少なからず影響を及ぼしている点について、中村会長は「役所が業界と癒着しているかのごとくとらえられるのは本意でない。為政者が何をしようとしているのか、もう少し見極める必要がある。国会論戦などを通じて政府が目指す姿を理解できれば、業界としての意見も言えるようになるのではないか」と述べた。

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