2009/10/15 マンション大規模修繕向け瑕疵担保保険、年内にも開始/中古流通促進効果も

【建設工業新聞 10月15日 記事掲載】

マンションの大規模修繕工事を対象とした住宅瑕疵(かし)担保履行法に基づく保険制度が、年内にも開始される。住宅瑕疵担保保険法人などが、具体化へ向けて国土交通省と協議を進めており、同法に基づく任意保険として許可される方向だ。修繕工事の請負業者が倒産した場合でも、保険に加入していれば工事の欠陥から発注者が保護されるため、マンション管理組合にとっては修繕工事実施へのハードルが低くなる。保険に加入して行われる工事には現場検査が実施され、履歴も残ることから、修繕後の中古住戸の流通促進にも効果があるとみられる。年間5000億円規模といわれるマンションの大規模修繕市場の拡大にもつながりそうだ。

住宅瑕疵担保履行法では、新築住宅の売り主などが瑕疵保証を確実に履行できるようにする資力の確保策として設けられた「住宅瑕疵担保責任保険」のほかに、住宅建設工事の請負人などが瑕疵により生じた損害などを補てんするための任意保険(2号保険)も規定している。この2号保険の一つとして、マンションの大規模修繕工事を対象にした保険商品の開発が進められている。大規模リフォームを対象に第三者保証を行っているケースは既にあるが、同法に基づく保険商品は再保険の対象となるため、消費者側にとってはより安全性が増すメリットがある。

大規模修繕工事で瑕疵などが発覚すると、工事を実施した時期にマンション管理組合の役員を担当していた住民が責任を問われる可能性がある。これが大規模修繕工事に及び腰になる一因ともいわれており、保険を活用すればこうした懸念を軽減できる。保証能力が比較的小さい中小の工事業者にとっては、保険加入が工事を受注する際の信用補完につながる。

保険を利用する場合は、構造物全体について保険法人が現場検査を行い、躯体の性能がチェックされて履歴に残るため、中古物件として売却する際にも役立つとみられる。資産価値の向上や売却時の有利さにつながるのは区分所有者にとっては大きなメリットで、大規模修繕に対する合意形成の促進にもプラスとなりそうだ。既存の保険法人に加え、マンションリフォームなどを行う専門工事業者らが設立した「マンション計画修繕施工協会」も、保険法人の指定を取得した上で参入する方向だ。

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