2009/10/16 鳩山政権の10年度予算概算要求/公共事業費大幅削減へ/建設業界さらに厳しく

【建設工業新聞 10月16日 記事掲載】

鳩山新政権による10年度予算編成に向けた概算要求が15日まとまった。公共事業の見直しを掲げる新政権の下で、公共事業費の要求額は大幅に削られ、国土交通省関係の概算要求では、公共事業関係費が前年度当初比で2けたの削減となった。景気低迷による民需の冷え込みで市場が縮小し、経営環境が厳しさを増している建設業界にとって、公共事業費の大幅削減は、一段と大きな打撃となりそうだ。

自民党政権下で8月31日にいったん提出された国交省の10年度予算概算要求では、災害復旧を含む公共事業費の総額は6兆6150億円と、前年度予算の5兆6646億円に比べ16・8%の増額要求となっていた。政権交代により、増額要求は大幅削減へと一転した。

前原誠司国交相は、自民党政権下でまとめられた概算要求について、13日の記者会見で、「前年度から上乗せをしての概算要求だ」「当然ながら、自民党政権時に出された概算要求よりは低く精査をしている」と発言。「必要な公共事業はこれからも続けていく」としながらも、子育て支援や介護、医療、年金などの安定財源を確保するため、鳩山内閣の一員として予算を厳しく精査するとの方針を示していた。

一方で、前原国交相は公共事業費の大幅削減について「削減額が大きいことがよいことではないし、意味があるとは全く思っていない」とも述べ、同省所管の産業が夢と希望を持って継続的に発展していける環境の整備に取り組む姿勢も示していた。今後、国内建設市場の縮小が避けられない中、大手から地方の中小建設業者までを含め、前原国交相が建設業に対してどのような将来像を描き、同省としての支援策を打ち出していくのかが大きな焦点になる。

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