2009/10/19 国交省/10年度予算概算要求/公共事業費、実質17%減/国内市場さらに縮小

【建設工業新聞 10月19日 記事掲載】

国土交通省が先週末に再提出した10年度予算の概算要求は、公共事業費に大なたが振るわれ、建設業界にとっては極めて厳しい内容となった。公共事業関係費は4兆9167億円と、09年度当初予算と比べ見かけの削減幅は14%減だが、この金額には自治体への請求を廃止する直轄事業負担金の維持管理費分1683億円が含まれており、維持管理費分を差し引いた実質的削減率は17%にも及ぶ。公共事業はこれまでも当初予算ベースでは8年連続で削減されてきたが、17%ものマイナスになれば、民間設備投資も低迷を続ける中で国内建設市場は一挙に収縮する可能性が高く、建設会社の倒産増など深刻な影響が危ぐされる。

「鳩山内閣では税の使い道を変える、生活第一に予算を配分すると掲げて選挙を戦った」。前原誠司国交相がこう説明した通り、国交省全体の概算要求は12%減の5兆5939億円となった。民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で4年間に公共事業全体で1・3兆円を節約すると表明していた。国交省分のシェア(0・81%)で計算すると1兆円となり、「公共事業をどれだけ削減するかの判断材料にした」(前原国交相)という。この結果、公共事業費は前年度より8157億円削減され、1兆円の節約目標のかなりの部分を前倒ししたことになる。

だが、実質的な削減幅はこれだけにとどまらない。「直轄負担金を請求しないとすると、9840億円の減額になる」(馬淵澄夫副大臣)。今回の概算要求は、直轄事業負担金の維持管理費分を廃止する前提で提出している。要求額4兆9167億円には維持管理費分1683億円が含まれていて、これを差し引いた実質的な公共事業費は4兆7484億円となり、削減幅も14%から17%に跳ね上がることになる。

予算の内容を見ても事業はかなり絞り込まれた。道路は新規事業を行わず、事業個所も2割程度削減する方針だ。ダム事業の予算も前年度比14%減とし、今後、どのダム事業を進めるかについては、年末の予算編成過程で決定するという。官庁営繕事業も新規採択は老朽・狭あい化した税務署などに絞り込み、営繕施設の耐震改修も耐震性能が低い施設に限定。空港整備勘定の見直しに伴い、那覇や福岡を除き地方空港の新たな整備も抑制される見通しだ。 

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