2009/10/27 鳩山首相が初の所信表明/「公共事業依存」脱却を力説/空港など重点化にも言及

【建設工業新聞 10月27日 記事掲載】

第173回臨時国会が26日召集され、鳩山由紀夫首相が所信表明演説を行った。首相は、「公共事業依存型の産業構造を『コンクリートから人へ』という基本方針に転換する」と述べるとともに、「ダムや道路、空港や港など大規模な公共事業について、国民にとって本当に必要なものがどうかを、もう一度見極める」との考えを表明。行政のあり方に関して、「戦後行政の大掃除」として税金の使い道と予算編成のあり方を徹底的に見直すとした。一方で、「わが国の空港や港を、世界やアジアの国際拠点とするため、真に必要なインフラ整備を戦略的に進める」とも語り、施策と予算配分の選択と集中を図る方針も強調した。

政権交代後、初めてとなった鳩山首相の所信表明演説は、公共事業の見直しや、ガソリン税の暫定税率廃止、高速道路の原則無料化など民主党が衆院選で示したマニフェストを踏襲した内容となった。鳩山首相は、「官僚依存からの脱却」などの取り組みを「無血の平成維新」と名付け、変革への理解と協力を求めた。財政のあり方に関しては、「国家戦略室において根本から見直し、『コンクリートから人へ』の理念に沿った形で硬直化した財政構造を転換する」とした。国と地方との関係については、対等の立場で対話していける新たなパートナーシップを構築するとし、「国と地方が対等に協議する場の法制化を実現しなければならない」との考えを表明した。

現在の経済情勢については、「今なお予断を許さない状況」と厳しい認識を示し、「雇用情勢の一層の悪化や消費の腰折れ、地域経済や中小企業の資金繰りの厳しさなどの課題に対応し、日本経済を自律的な民需による回復軌道に乗せる」と強調。さらに「内需を中心とした安定的な成長を実現することが極めて重要となる。世界最高の低炭素型産業、『緑の産業』を成長の柱として育て上げる」としたほか、「規制のあり方を全面的に見直し、新たな需要サイクルを創出する」と語った。

首相の所信表明演説に対する各党の代表質問は28日から行われる。野党となった自民党は、地元が建設中止に反対している八ツ場ダム問題などを追及していくとみられる。

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