2009/11/5 主要ゼネコン4~9月期決算/3分の2強が減収/大型工事の着工遅れ響く

【建設工業新聞 11月5日 記事掲載】

ゼネコン各社の09年4~9月期決算発表が5日から本格化する。ピークは12日で、13日までにほとんどの会社の決算が出そろう予定だ。主要30社が4日午後3時までに公表した業績予想を日刊建設工業新聞社が集計したところ、連結ベースの売上高は、厳しい市場環境を反映して3分の2強の社が前年同期を下回った。一方、本業のもうけを示す営業利益については、コスト低減や販管費の削減努力が実を結んだとして、期初に公表した数値を上方修正する社が相次ぎ、半数以上が前年同期を上回っている。

公表値ベースで前年同期の実績と比較すると、売上高が減少したのは30社中22社。減少の主因として、今期に本格適用が始まった工事進行基準の対象になる工事の進ちょく率が予想に反して低水準にとどまったことが挙げられている。各社が期初に見込んでいた大型工事の着工が遅れるなど、昨秋以降の世界同時不況を背景に企業の設備投資が抑制されている影響が業績にも現れた格好だ。

一方、営業損益が前年同期の実績を上回ったのは18社と半数を超えた。今年5月に前期決算と併せて公表した期初の業績予想数値を修正したのは30社中22社で、うち20社は営業利益の予想値を上方修正した。市場縮小で受注高・売上高が減少する中でも損益が改善している理由として、赤字工事に手を出さない選別受注を徹底するなど各社が採算を重視して量から質への転換を推し進めていることが挙げられる。さらに、工事採算の改善を目指したコスト低減策や人員リストラによる販管費の削減努力なども大きいようだ。

ただ、公共事業による景気下支えを狙った前政権までの時代とは異なり、鳩山新政権は公共事業を大幅に削減する方針を掲げており、このままいけば国内建設市場が一段と縮小するのは必至。売上高の減少をコスト削減などで補うにも限界が来る可能性は高い。期末決算を乗り切るためには、一層の企業努力に加え、雇用政策とも連動した政府の抜本的な対策も求められそうだ。

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